2016年01月05日 06:00 公開

性的マイノリティー、高齢・男性ほどネガティブな感情

初の本格的全国調査

 レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(心と体の性が一致しない人)の「LGBT」など性的少数派(マイノリティー)に対する意識は、高齢、男性ほどネガティブなことが、文部科学省の研究によって分かった。職種別では管理職の男性がネガティブな割合が最も多く、研究者の一人である国立社会保障・人口問題研究所の釜野さおり室長は「管理職の意識改革が必要」としている。性的マイノリティーに関する全国規模の意識調査は、わが国では初めて。

「身の危険を感じる」など6項目で男性多い

 研究グループは、2015年3月に全国の20~79歳の男女を対象にアンケート調査を実施。アンケート用紙は2,600票配布し、1,259票が回収された(回収率48.4%)。

  その結果、87.5%が性的マイノリティーの存在を知りつつ、自分の周囲に"同性愛者"が「いる」と答えたのは、男性4.8%、女性5.8%。年齢別では20歳代14.2%、30歳代10.3%、40歳代5.9%、50歳代0.9%と、年齢が高くなるにつれて低くなる傾向にあった。

 また、「仲の良い友人から"同性愛者"だと告げられたらどう思うか」との質問については、女性の72.1%が「理解したい」、47.1%が「言ってくれてうれしい」と回答したのに対し、男性ではそれぞれ56.6%、29.9%。さらに、「身の危険を感じる」「どうでもいい」「聞かなかったことにしたい」「気持ち悪い」「同情する」「迷惑だ」の6項目で女性よりも男性の方が多かった。

 男性の中でも管理職は特にネガティブな感情を抱いているようで、40歳代男性管理職の71.5%が"同性愛者"に対して「嫌だ」もしくは「どちらかといえば嫌だ」と回答。他の職種に比べて突出して多かったという。

 また、男女ともに"同性愛者"が兄弟姉妹だった場合は38.0%、子供の場合は45.6%が「嫌だ」と回答していた。

管理職の意識は働きやすさに影響

 これらの結果について、釜野室長は「性的マイノリティーについて、いざ自分の身の回りのこととなると違う感覚を持つ人が多いことが分かった。特に、男性管理職が性的マイノリティーをネガティブに捉えている点は注目される。職場での働きやすさに影響するため、管理職の意識改革が必要ではないか」とコメント。継続的に調査していけば、社会の変化を把握できると、今後の調査に意欲を示した。

 報告会に参加した主婦会館クリニック(東京都千代田区)の堀口雅子医師(性と健康を考える女性専門家の会・名誉会長、産婦人科医)は「10年ほど前から、性同一性障害のホルモン治療や心理ケアに携わってきた。LGBTの多くは医療機関で嫌な思いをすることを恐れて、心身に不調があっても、なかなか受診しようとしない。性的マイノリティーが安心して受診できる環境をつくるためには、医療者がもっと現状を知って、正しく理解することが大切。今回の意識調査がそのきっかけになればと思う」と述べた。

(文・写真/中山あゆみ)

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