2016年01月15日 06:00 公開

「肥満でも健康ならOK」はウソ? スウェーデン研究

運動による良い効果打ち消す

 スウェーデン・ウメオ大学医学部のガブリエル・ヘーグストレーム氏らは、130万人を超える同国の男性を調べた結果、青年期に測定した有酸素運動能力が高い人ほど、若くして死亡する危険性が低かったと、昨年12月20日発行の国際疫学会(IEA)の専門誌「International Journal of Epidemiology」(電子版)に報告した。ただし、肥満度が高くなるほど危険性の低下度が小さくなり、BMI(肥満指数)が35以上の肥満(日本の基準で「肥満3度」以上)の人では危険性の低下が認められなかったという。最近は「肥満でも健康なら良い」という考え方が医学会に起こっているが、今回の研究結果は、そうしたものに疑問を投げかける形となった。

運動能力高い肥満は低い普通体重よりも死亡リスク高い

 ヘーグストレーム氏らは、1969~96年に徴兵検査を受けたスウェーデンの男性131万7,713人を平均で28.8年間追跡調査した。検査時の平均年齢は18歳。全員が徴兵時に、自転車エルゴメーター(エアロバイク)で有酸素運動能力を測定した。

 年齢や徴兵時年齢の影響を取り除いて分析した結果、有酸素運動能力によって5段階に分けたうち最も高いグループは、最も低いグループに比べて死亡するリスクが51%低かった。死因別では特に、アルコールや薬物などの乱用による死亡と自殺がそれぞれ8割減、6割減と大幅に低下。一方で、がんによる死亡は2割減とリスクの低下度が小さかった。

 また、体重(キロ)÷身長(メートル)の2乗によって計算するBMIで分析したところ、BMIが高いほど、有酸素運動能力の高さによる死亡リスクの低下度が小さくなることが分かった。BMIが18.5~25未満の「普通体重」の人では、有酸素運動能力が低い人に比べて高い人で死亡リスクが34%減。BMIが25~30未満の「肥満1度」で28%減、BMIが30~35未満の「肥満2度」で26%減と肥満度が上がるほど死亡リスクの低下度が小さくなり、BMIが35以上の「肥満3度」以上ではリスク低下が認められなかった。

 さらに、有酸素運動能力が低い「普通体重」の人は、有酸素運動能力が高い「肥満3度」以上に比べ、死亡リスクが30%低かった。

運動能力よりも肥満度が重要?

 ヘーグストレーム氏らは(1)喫煙による影響を考慮していない、(2)結果を女性や高齢者に当てはめられない、(3)遺伝的な要素が影響した可能性─などを研究の欠点として提示。

 その上で「今回の結果は、肥満だと有酸素運動能力が高くても普通体重に比べて若いうちに死亡する危険性が高かったという点が重要。この結果は、"肥満でも健康なら良い"という考え方に疑問を投げかけるもの」とし、「早期死亡リスクを下げるという点では、青年期にBMIが低いことが健康度の高さより重要なことを示している」と付け加えている。

 なお、有酸素運動は心臓病や糖尿病に良い効果があることが知られているが、今回の研究では、心臓病よりもアルコールなどの物質乱用による死亡や自殺との間に強い関連が認められた。これについて、ヘーグストレーム氏らは「運動がうつ病の改善に有効というエビデンス(根拠となる研究結果)もあるが、逆に青年期の飲酒量が多かった男性は、当時の有酸素運動能力が低かったのかもしれない」と考察している。

(あなたの健康百科編集部)

関連トピックス

関連リンク(外部サイト)

ファーマトリビューン(PharmaTribune)