2016年01月15日 14:00 公開

自分の子供がLGBTだったら? NHK「あさイチ」で特集

1月6日放送分より

 レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(心と体の性が一致しない人)の「LGBT」などの性的少数派(マイノリティー)が注目される中、1月6日放送のNHK情報バラエティー番組「あさイチ」では、LGBTを公表している4人が登場。わが子がLGBTだったら、という親子関係に焦点を絞り、LGBTをめぐる日本の現状に一石を投じた。あなたのお子さんがLBGTだったら、どうしますか?(関連記事:性的マイノリティー、高齢・男性ほどネガティブな感情

3人に1人はLGBTという調査結果も

 番組ではまず、LBGTの割合は13人に1人という調査結果(電通ダイバーシティ・ラボ「LGBT調査2015」より)を紹介。街頭インタビューでこの結果を聞かされた人たちからは、「信じられない」「身内にいたらびっくりする」「自分の子供だったら、すぐには受け入れられない」などという声が上がった。

 続いて番組には、トランスジェンダーの杉山文野さん(34歳)、レズビアンの室井舞花さん(28歳)、ゲイの松岡宗嗣さん(21歳)と松中権さん(39歳)の4人が登場。中学生の時に交際中の同性(女性)と部屋にいたところを親に見られたためにカミングアウトしたという杉山さんは、「性同一性障害」という言葉も知らなかった両親から「頭がおかしい」などと言われて傷付いたが、その後10年かけて良好な関係が築けたと話した。この話を聞いた司会の井ノ原快彦さんは、「その10年を縮めてあげたい」とコメント。

 一方で、杉山さんのカミングアウトを聞いた母親は「男の子の格好ばかりさせないで、女の子らしく育てれば良かった」と後悔し、父親も「病院に行けば治るんじゃないか」と考えていたという。杉山さんも女性として年を重ねるというイメージがなく、男性として生きる選択肢もなく、早く死にたいと考えていたそうだが、そんな中で出合ったノンフィクション作家・吉永みち子さんの著書『性同一性障害 性転換の朝(あした)』(集英社新書)を両親に渡した。

 そこには「性同一障害は、育て方や環境といった要素で起きるものではない」「自らの性の違和感は、どんなに頑張っても決して消えない」などと書かれていた。読後、両親はいろいろ調べてわが子のありのままの姿を受け入れられるようになり、今では、男性であろうが女性であろうが関係ない、きちんと生きていてくれればいいと考えることができるようになったという。

LGBTのほかに「Q」

 では、LGBTはいつ頃から始まるのだろうか。番組では、過去にNHK・Eテレで取材した5歳の幼稚園児みっちゃん(仮名)の例を紹介。みっちゃんは体は男の子だが、心は女の子。キラキラしたものや女の子の玩具が大好きだが、両親はわが子のLGBTを受け入れられず、「いずれ治るはずだ」と自分たちを納得させて男の子向けの玩具を与えていた。

 ところが、ある日、電車の玩具を買ってあげようとすると、突然、「分かってください! みっちゃんはかわいいのが好きだから。お願いします!」と言って泣き崩れた。両親がようやく事実を認めて女の子の服を買ってあげると、みっちゃんは「ありがとう!」と言って喜び、父親もそれを機会に吹っ切れて、みっちゃんの性を認めることができるようになったそうだ。

 この話を聞いたゲストのタレント・青木さやかさんは、同じ5歳の娘を持つ母親として「お願いしますなんて言われたら理解しようと思うしかないよね」とコメント。でも、戦隊ものが好きな女の子もいるし、かわいい服が好きな男の子もいるからよく分からない。のちのち変わるかもしれないと思ってしまうかもと、正直な気持ちを打ち明けた。

 番組に登場した精神科医でGID(性同一障害)学会理事の針間克己医師は、大人のトランスジェンダーは心の性が変わらないが、子供の場合は変わる可能性もあると説明。そのため、LGBTのほかに「Q(Questioning)」という区分けをすることも多いようだ。番組では「Q」について、自分の性別がはっきりしない人や、同性愛だがセックスはしたくない人、性的な欲求がない人などが含まれると紹介された。

LGBTを支援する「アライ」

 近年では「アライ(Ally)」という、LGBTを理解して支援する人の動きも世界的に増えていることが紹介された。テレビで"オネエ系タレント"を見て「気持ち悪い」と言ったり、あるいは、飲み会や会社で同性愛をネタにしたりした時、「それは言っちゃいけないよ。いろいろな人がいるのは当たり前」と言ってくれるだけでLGBTの人は安心するという。こうした行動も「アライ」の一つだろう。

 さまざまな体験談を通して日本でのLGBTの現状を知った井ノ原さんは「今日のあさイチを見て理解した気持ちになる前に、自分だったらどうかを想像してほしい」と提案。NHKオンラインの「虹色 LGBT特設サイト」では「相談窓口」を設けているので、自分の性に悩んだことのある人はクリックしてみてほしい。

(萩原忠久)

※更新記録:
2016年1月18日 LGBT「Q」の説明について、GID学会理事・針間克己医師の見解のように誤解を与えかねない表現だったため、修正しました。

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