2016年01月15日 10:00 公開

あらゆる病気の原因に...日本人に多い"口呼吸"を直そう

医学博士・西原克成氏の著書から探る

 「口呼吸は良くない」というのを耳にしたことはあっても、朝起きた時に少し喉がガラガラするだとか、口が半開きで阿呆みたいな顔になるといったことなど、なんか嫌だなあ、少し不快だなあ、といった些細(ささい)なことだという認識はないでしょうか。しかし、口呼吸は全身の免疫力の低下を招き、「低体温」や「睡眠不足」などと連鎖してあらゆる病を発症させる恐ろしい習慣だったのです。口呼吸のメカニズムや病気、改善方法などを、医学博士である西原克成氏の著書から探っていきます。

こんな人が口呼吸をしている!

 ちなみに、日本人では大人の5割、20代では90%が口呼吸、というデータがあります。 自分では気づいていない"隠れ口呼吸"や"睡眠時だけ口呼吸"の人も多いそうで、私たちにとって身近な問題と言えるでしょう。

 口呼吸の人は、見た目が特徴的です。出っ歯や下唇がぽってりしている人、受け口、無意識のうちに口が半開きになる人や唇が乾燥している人、朝起きた時に喉が痛む人、口を閉じると下唇の下に梅干しのような形ができる人、などです。一つでも思い当たる項目がある人は、口呼吸をしている可能性があります。

鼻は呼吸器、口は消化器! 口呼吸では常在菌がそのまま体内へ

 『アレルギー体質は"口呼吸"が原因だった―ぜんそく・アトピー・花粉症』(青春出版社)の著者である西原氏は、アレルギー体質の人は、ほぼ100%が口呼吸とする説を唱えています。仕組みに対して間違った体の使い方を続けているために、本来の免疫システムが働かなくなってしまっているのだと著書で語っています。

 人間の体の構造では、鼻は空気を取り込む機関で「呼吸器」、口はあくまでも食べ物を取り込む機関で「消化器」と役割分担が違うといいます。

 私たちは空気中にある無数の常在菌に囲まれていて、これらが体に侵入しないよう、鼻の穴や口などの経路には防御機能が備わっています。特に、鼻は空気清浄機のような役割を果たしていて、鼻の穴を流れる粘液と繊毛(鼻毛とは別のもの)によって空気を濾過し、きれいにする働きがあります。また、鼻から喉にかけて四対の空洞があって、ここでは季節や外気温に関係なく、体に入る空気を「37度の適温」「湿度を100%」に調整しています。

 肺や気管は乾燥に弱く、乾いた空気にさらされるとすぐに炎症を起こしてしまい、喘息(ぜんそく)や間質性肺炎の原因になります。鼻の穴は15センチ足らずと短いのですが、この仕組みのおかげで、極寒の場所でも喉や気管や肺が霜焼けにならずに済むのだそうです。

 一方、口にはその機能が備わっていないため、口呼吸では常在菌の混じった空気がダイレクトに扁桃組織を直撃し、ダメージを与えます。喉の奥の扁桃に冷えた空気が直撃して体温が下がると、外敵から体を守る免疫の要所である防御網がやられ、免疫力が低下する、という仕組みになっています。

口呼吸が原因でなる病気が多過ぎる!

 アレルギー疾患をはじめとするほとんどの病気が、口や喉の常在菌による「細胞内感染症」。体に現れる症状は違っても元をたどれば全て同じだそうで、人体をくまなく血の巡る「統一個体」としてみれば、どんな病気も治し方の基本はシンプルだと西原氏は語ります。それが、細胞内感染症が気管支に起きれば気管支喘息、皮膚に起きればアトピー性皮膚炎、鼻に出れば鼻炎や花粉症、腸を汚染すれば腸炎やクローン病、潰瘍性大腸炎......と、さまざまな病気が口呼吸と関係しているというもの。

 関節に起きればリウマチ、肝臓では肝炎、白血球造血器に起きて白血病、リンパ造血器で悪性リンパ腫、生殖器系だと子宮筋腫や不妊症、脳に起きると総合失調症やうつ病...高血圧や膠原(こうげん)病も...、と挙げていくと切りがありませんが、これらも口呼吸で喉を冷やし、汚染された血液が体中へ配達されて起こると、西原氏は説明します。

口呼吸はどうやったら直るのか?

 万病の元となる恐ろしい口呼吸。そんな口呼吸を直して鼻呼吸に改善することはできるのでしょうか。いくつかの方法を挙げていこうと思います。地道な方法をコツコツ続けるのが効果的で、1カ月ほどで鼻呼吸になるといわれています。

  • 口呼吸を促進する一方の顎でかむ「片かみぐせ」を直す→食事は真正面を向いて、左右均等によくかんで食べる
  • 横向きやうつ伏せで寝る習慣を正す→鼻がうっ血して鼻の穴がふさがるので、仰向けで寝る
  • 使っていない表情筋(唇の周りにある口輪筋)を鍛える→上唇をつまんで下に引っ張ったり、下唇をつまんで上に引っ張ったりする。左右も同じようにする

 他にも、唇を閉じて左右均等にガムをかむことや、絆創膏(専用のテープも販売されています)を口に縦一文字に貼って寝ることも効果があるそうです。

 改善すると鼻の穴が広がり、広がったことで鼻筋が高くなったり、筋力がついて頬のたるみがなくなったり、下唇が薄くなったりと見た目にも変化がでます。そして、口で呼吸するのがとても不自然になります。

 口呼吸している方はぜひ、鼻呼吸に改善することをおすすめしたいと思います。

(イラスト・文/うさぎ野ロッコ)

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