2016年01月18日 10:00 公開

リウマチ患者が知っておきたい食事のポイント

神戸大リウマチ教室

 関節リウマチの患者では、関節が炎症で腫れて痛むため運動不足になったり、ステロイド薬を服用したりするので、肥満や糖尿病、脂質異常症といった合併症が起こりやすくなる。そのため、食事に気を付けることも大事な療養の一つだ。神戸大学医学部整形外科が開いているリウマチ教室「やってみよう! 今日からできる食事のポイント」(司会=同科・三浦靖史准教授)では、関節リウマチ患者が知っておきたい食事のポイントについて、同大学管理栄養部の赤毛弘子管理栄養士がアドバイスした。

自分の適正な体重とエネルギー摂取量を知ろう

 リウマチ患者が知っておくべき食事のポイントは、肥満を防ぎ、合併症にならないように気を付けることと、関節の負担を軽くすることだという。

 では、どのくらい食べるのが適切なのだろうか。赤毛氏は、その目安を知るためにはまず、BMI(肥満指数)とその身長の標準体重を算出し、自分の体重が適正かどうかを知る必要があるとアドバイスする。

自分の適正体重を知ろう

BMI=体重(キロ)÷身長(メートル)×身長(メートル)
※BMI 25以上は「肥満」
標準体重=身長(メートル)×身長(メートル)×22

自分の適正なエネルギー摂取量を知ろう

1日のエネルギー摂取量(キロカロリー)=標準体重(キロ)×身体活動量
※身体活動量はデスクワークが多い職業などの人であれば25~30

 太るのは簡単、でも減らすのはたいへん。体脂肪を1キロ減らすためには7,200キロカロリーを消費しなければならない。毎日250キロカロリー減らすと1カ月で1キロ減量できる。250キロカロリーは、白飯だと茶碗に軽く1杯くらいだという。

 「最近は、メニューやパッケージにカロリーが表示されているものを、店頭でよく見かけるようになりました。カロリー表示をチェックして上手に食事を選んでみるとよいでしょう。カロリーに気を付けるというのは、単にカロリーが高いからダメなのではなく、自分の適正な摂取量に見合っているかどうかがポイントです」(赤毛氏)

主食・主菜・副菜のバランスを整えよう

 食事はカロリーだけではなく、バランスが大切。では、バランスの良い食事とはどのようなものだろうか。

 「主食になる炭水化物を多く含むものと、主菜となるタンパク質を多く含むもの、副菜となる体の調子を整えるビタミンやミネラル、食物繊維を多く含むもの、この3つをそろえることが、バランスの良い食事の基本です」(赤毛氏)

 主食といえば、白飯やパン、麺類などが思い浮かぶが、炭水化物の多いもの、例えば、ジャガイモなどのイモ類、カボチャ、トウモロコシ、レンコン、アズキも主食と捉えた方がいいという。

 「食事の際に、この3つがそろっているかどうかを意識するよう努めるだけでも、食品や食材の選び方などが次第に変わってくると思います。そのほか、乳製品は1日のどこかの食事の機会に取るとよいでしょう。果物にはビタミンやミネラル、食物繊維が含まれていますが、糖分が多いので取り過ぎないよう気を付けてください」(赤毛氏)

 料理を作り過ぎないことも、食べ過ぎを防ぐポイントだ。

 「作り過ぎたときに、ついつい食べ切ってしまう人が多い。なるべく小分けに冷凍・冷蔵しましょう。また、規則正しい食事は規則正しい生活もポイントです。起きる時間と寝る時間は人それぞれですが、自分のリズムに合わせた食事のタイミングが大事。1日2食は絶食が長くなるのでエネルギーをためやすい体になります。むしろ、こまめに少量を食べる方がよいかもしれません。よくかんで食べるよう心がけ、暴飲暴食、糖分やアルコールは控えましょう」と赤毛氏は付け加えた。 

 甘いものも食べたいけれど、カロリーが心配。では、カロリーゼロやカロリーオフの食品はいくら食べてもいい?

 「答えは"NO"です。カロリーオフの表示には決まった基準があり,100グラム中に40キロカロリー未満や100ミリリットル中に20キロカロリー未満であれば「カロリーオフ」、5キロカロリー未満であれば「ゼロ」と表示してよいのです。ですから、低いけれどもカロリーはあることに気を付けて。「ゼロ」という言葉に惑わされないように、しっかりと表示を確認しましょう」(赤毛氏)

リウマチの痛みや炎症を抑えるn-3系脂肪酸

 最近では、食事内容を意識することで、リウマチの痛みや炎症を抑える作用に期待できるという。そのポイントは油脂だ。

 「脂肪酸には、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があります。飽和脂肪酸は肉などに含まれていて、痛みや炎症を強める恐れがあるといわれています。中性脂肪やコレステロールを増やすので、あまり取り過ぎないようにしたいところです。一方、不飽和脂肪酸の多価脂肪酸にn-3系脂肪酸というものがあります。これは青魚に多く含まれていて、炎症を抑えたり動脈硬化などを防いだりしてくれるといわれています」(赤毛氏)

 n-3系脂肪酸は青魚に多く含まれるエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)、エゴマ油など植物に含まれるα(アルファ)リノレン酸が代表的だ。

 しかし、いくら良い油でも、取り過ぎるとカロリーオーバーになってしまう。そのため、普段の食事にプラスするのではなく置き換えるのがポイントとなる。

 「普段の料理の油をエゴマ油などn-3系の油に置き換えるようにして、油の摂取量自体は増やさないようにしてください。その際、熱に弱い性質があるので加熱し過ぎないこと。普段の野菜サラダの味付けを、エゴマ油を使って自作したドレッシングに置き換える、といった使い方がお勧めです」(赤毛氏)

調理の負担を軽くすることも大切

 関節の使い過ぎに注意すべきリウマチ患者にとって、料理は意外と関節に負荷がかかる家事でもある。

 「重い鍋やフライパンが流行っていますが、調理器具は軽いものを使いましょう。片手鍋より両手鍋を選ぶのもポイント。カボチャやイモ類などの堅い食材を切るときは、一度レンジで加熱してから。力を入れなくても楽に切れます。食事を作るのが面倒なときや体が疲れているときには無理をしないで、調理済み食材や配食サービスを利用してもよいでしょう。バランスやカロリーを意識したものも増えています」(赤毛氏)

 最後に赤毛氏は「1日3回の食事、少し意識を向けるだけでもよい方向に変わってくると思います」とアドバイスした。

Q&A
Q. 免疫力を高めることをうたった食品、リウマチ患者は取らない方がよい?
A. リウマチ患者が服用している薬の効果を妨げるほど免疫力を増強する食品はありません。"免疫力アップ"とうたっているのは、あくまでも健康維持という意味合いだと思います。それほど気にしなくでよいでしょう。ただし,食品との組み合わせで問題となるのが、「リウマトレックス」などのメトトレキセートという薬です。これは葉酸代謝拮抗薬なので、葉酸を取り過ぎると効果が落ちてしまいます。ですから、葉酸の多い青汁や葉酸が含まれているサプリメントを服用するのは避けてください。
Q. 腸内環境を整えれば健康に良いと、さまざまなメリットをうたうヨーグルト。リウマチ患者はどれを選べばよい?
A. 菌の種類はいろいろあり、さまざまなメリットがうたわれたヨーグルトが店頭に並んでいますね。腸内環境を整えるのは便秘を防ぐ上でも重要。カルシウムの補給という面でもヨーグルトは魅力的な食品です。自分の好みで選んでもらえればと思います。

長谷川愛子

神戸大学整形外科リウマチ教室
 神戸大学整形外科では、関節リウマチ患者が自分の病気についての理解を深め、より良い療養生活を営めるアドバイスを伝える目的で、2003年から毎月1回、同大学病院で患者教室を開講している。同院に通う人だけでなく、他の医療機関や診療科で治療を受けている関節リウマチ患者、患者の家族、医療関係者など、関節リウマチに関心を寄せる全ての人に門戸を広げている。

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