2016年01月19日 15:00 公開

糖分の摂取も規制化へ? 甘党には厳しい米国の新食事指針

コーラ1本とドーナツ1個で超過

 「健康のため、糖類の摂取は1日の総エネルギー量の10%未満に抑えて」―米国でこのほど公表された食事の新ガイドライン(指針)に、初めて糖類の摂取基準が盛り込まれた。糖類には砂糖や蜂蜜、シロップ自体はもちろん、それらを加えた食べ物や飲み物なども含まれる。今回の基準値だと、 缶ジュース1本とドーナツ1個を食べただけで上回ってしまう。コーラやジュースなどの加糖飲料を日常的に飲んでいる人が多い米国民にとって、厳しい基準といえるだろう。一方、日本には今のところ国が定めた糖類の摂取基準はないが、砂糖への課税を求める動きも出ている。喫煙者のように「甘党」が肩身の狭い思いをすることになる日は近いかもしれない。

ソースやケチャップの糖分にも注意

 今回発表された「Dietary Guidelines for Americans 2015-2020」は、米国民が肥満や糖尿病などの生活習慣病にならないための食事内容を示したもの。米国保健福祉省(HHS )と米国農務省(USDA)が最新の科学的エビデンス(根拠)に基づき、5年ごとに改訂している。

 今回の改訂内容で特に注目されているのが、塩分や脂肪(飽和脂肪酸)に加え、初めて砂糖など糖類の摂取量について具体的な基準値が示されたこと。指針には年齢・性別・運動量(身体活動量)に応じた推定エネルギー必要量が一覧表示されており、例えば「41~45歳」「中等度の身体活動量」の女性が必要な1日当たりの必要エネルギーは2,000キロカロリー。したがって、1日に摂取できる糖類は約50グラムとなる。

 これは、350ミリリットルの炭酸ジュース1缶を飲み、ケーキやドーナツなどのデザートを1つ食べるだけですぐに超えてしまう量だ。また、甘いものが大好きな子供は多いが、必要なエネルギー量が大人に比べて少ないため、摂取できる糖類の量はさらに少なくなる。

 ガイドラインでの「糖類」には、果物など食品に元から含まれている糖分は除外される。一方で、ソースやケチャップなどに加えられている糖類も対象となる。甘いものだけでなく、食事からの摂取にも気を付けなくてはならない。

米国民は総エネルギー量の13%を糖類から摂取

 現在、平均的な米国民が摂取する1日当たりのエネルギー量の13%以上を糖類が占めていると推定されている。米国では肥満率が高いことがよく知られているが、その背景には米国民の加糖飲料や菓子などの摂取量の多さがある。

 一方、砂糖などの糖類や加糖食品を控えた食事パターンで、心臓病や糖尿病(2型)、特定の種類のがんにかかる危険性が低くなることを示した研究がいくつもある。

 今回のガイドラインで示された基準は、こうした研究結果を根拠としたもの。基準を守る米国民が増えれば、肥満や生活習慣病を減らせるのではないかと期待されている。

WHOはより厳しい基準

 こうした糖類の摂取制限は世界的な流れとなっている。世界保健機関(WHO)は2014年、米国の基準よりもさらに厳しい「1日の糖類の摂取量を約25グラム(小さじ6杯程度)、総エネルギーの5%未満に抑えるべき」とする基準を発表。実際に日常生活で守るには厳し過ぎるとの声が相次いだ。

 しかし、最近は国民の健康のためにコーラなどの加糖飲料に課税するようになった国が増えつつある。このうち、2014年から加糖飲料への課税を始めたメキシコでは、消費量が1年間に平均で6%減少したことが報告されている(「BMJ」2016; 352: h6704)。

 日本でも昨年、厚生労働省の有識者会議で、2020年までにたばこや酒への課税強化に加え、砂糖への課税求める提言案がまとめられた。現時点では同省が策定した「日本人の食事摂取基準(2015年版)」には糖類の基準は示されていないが、5年後の改訂では糖類の制限も盛り込まれるかもしれない。

 このほか、これまで盛り込まれていたコレステロールの制限(1日当たり300ミリグラムまで)を、「十分な科学的根拠がない」として撤廃。さらに「1日3~5杯のコーヒーを飲む習慣は、健康的な食生活の一環として取り入れてもよい」との見解が付け加えられた。

(あなたの健康百科編集部)

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