2016年01月26日 06:00 公開

約8割が効果を実感、花粉エキスを飲む「舌下免疫療法」

日医大多摩永山病院調べ

 今年もまた、スギ花粉症の人にとって気が重くなる季節が近づきつつある。花粉症の治療は薬によるものが主流だが、原因となる花粉エキス(アレルゲン)を注射したり飲んだりする「アレルゲン免疫療法」という治療法もある。このうち注目されているのが、1年ほど前に保険が適用されるようになった「舌下免疫療法」と呼ばれる、飲むタイプの治療法だ。この治療を受けた約8割の人が効果を実感していることが、日本医科大学多摩永山病院(東京都多摩市)の後藤穣部長(耳鼻咽喉科)ら調査によって分かった。この調査結果は、昨年11月21~22日に奈良市で開かれた日本小児アレルギー学会の会合でも報告されている。

完全に治る人も

 花粉症の治療は薬によるものが最も一般的だが、症状を軽減するだけで、治癒(完全に治ること)には至らない。一方、花粉症を根本的に治せる可能性があるのが、"減感作療法"とも呼ばれるアレルゲン免疫療法だ。これは、アレルゲン(アレルギーを引き起こす原因)である花粉のエキスを少しずつ体に入れ、花粉に対する免疫を徐々に作り上げていく治療法。アレルギーの原因が1種類のみに限定されている人では特に効果が高いとされ、薬を飲む必要がなくなるまでに症状が改善する人もいるという。

 アレルゲン免疫療法を受ける場合、以前は皮下に注射する「皮下免疫療法」しかなかったが、2014年10月に花粉のエキスを舌の下に垂らして2分間そのままの状態にし、その後に飲み込む「舌下免疫療法」が保険適用となった。この治療法は皮下免疫療法に比べ、注射の痛みがないことと、定期的な通院の回数が少ないことがメリット。ただ、エキスは毎日欠かさず服用しなければならず、治療期間が2年以上など、ハードルが低いわけではない。

 保険適用から約1年が経過したが、実際にこの治療を受けた花粉症患者は、負担や効果についてどう感じているのか―。後藤部長らは、昨年の飛散シーズン後の2014年11月~15年1月に、日本医科大学の付属病院や千葉大学、埼玉医科大学で舌下免疫療法を受け始めたスギ花粉症患者102人(平均年齢51歳)を対象にアンケート調査を実施した。

毎日の服用は負担にならず

 その結果、毎日エキスを服用することについては、「それほど」(54%)と「全く」(33%)を合わせ、9割近くが負担に感じていないことが分かった。一方、2週間ごとの通院については「やや負担」(45%)を含め、約7割が「負担」に感じていた。

 効果については、患者の自覚として「効いた」(33%)、「とても効いた」(26%)、「やや効いた」(19%)との回答が上位を占め、約8割が効果を実感していることが分かった。また、「来年も治療を続けたいか」との質問に対しては99%が「続けたい」と回答。一方、「続けない」という声はゼロだった。

 後藤部長は「1年目から効果を実感している患者が多かった」と述べ、舌下免疫療法は簡単で安全性が高い治療法であるとして、今後の普及に期待を寄せた。

 なお現在、舌下免疫療法を受けられる医療機関は限られている。また、この治療は花粉飛散シーズン中およびその前後には開始できない。治療について相談できる施設は、鳥居薬品のアレルゲン免疫療法専門サイトで検索可能だ。

(あなたの健康百科編集部)

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