2016年02月08日 10:30 公開

医師は自分の延命治療を望まない傾向―米調査

限界を知っているから?

 死を目前に、病院で最期までできる限りの治療を受けるか、あるいは延命治療は受けずに自宅で静かに死を迎えるか―。多くの人がいつかは直面する問題であり、その選択は個々の価値観に大きく左右されるところだが、さらに職業によっても違いがあるようだ。米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のジョエル・ワイズマン氏らは、米国4州の医療記録を調べたところ、死亡の半年前に手術などの延命治療を受けていた人の割合が、医師では一般の人に比べて少なかったと、1月19日発行の米医学誌「JAMA」(電子版)に報告した。ワイズマン氏らは「経験上、医師は終末期の延命治療に限界があることを知っているからではないか」との見方を示している。

病院で死を迎える割合は弁護士より低い

 ワイズマン氏らは、マサチューセッツ州など米国の4つの州で2004~11年に死亡した65歳以上の人の医療記録から、医師2,396人、弁護士2,081人、一般の人66万6,569人が死亡前の6カ月間(終末期)に受けていた治療の実態を調べた。

 その結果、病院で死亡した人の割合は、一般の人の32%に比べて医師は28%と低く、終末期に手術を受けた割合や集中治療室(ICU)で治療を受けた割合も低かった。また、収入や教育レベルが医師に近い職業である弁護士との比較では、病院で死亡した割合は弁護士の33%に対して医師では28%と低かったが、終末期手術とICUでの治療の割合については差がなかったという。

 このように、医師は他の職業の人に比べて終末期での積極的な治療を回避する傾向が示されたことについて、ワイズマン氏らは「医師は、終末期に延命治療を受けても効果が見込めないことに加え、治療による負担が重いことを熟知しているからではないか」と考察している。

 日本でも、厚生労働省が医師・看護師・介護職員・一般人を対象に同様の調査を行い、報告書を公表している。それによると、自分のやりたいことや生活を優先し、終末期を自宅や介護施設で過ごしたいと回答する割合が、一般の人に比べて医師・看護師・介護職員では多かったという。

(あなたの健康百科編集部)

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