2016年02月09日 20:00 公開

つらい咳の正体と止め方・治し方

2月3日放送NHK「ためしてガッテン」より

 風邪をひいていないのに咳(せき)が止まらない―そんな経験がある人も多いのでは? 長引いたり息ができないほど激しかったりすると、何か重大な病気が潜んでいるのではないかと不安になることも。2月3日放送のNHK「ためしてガッテン」では、咳が出るメカニズムをはじめ、危険な咳の見分け方、さらには家庭によくある「あるモノ」で咳を鎮める方法なども紹介された。

泡状の痰は命に関わる病気のサイン

 咳はなぜ起こるのか。その答えは、喉や肺に入った異物を吐き出そうとするためだ。横隔膜をぎゅっと収縮させて、強烈な風圧で異物を一気に吐き出そうとする。番組の実験で測定したところ、咳は風速17メートル。気象状況でいうなら、風に向かって歩くことができず、転ぶ人も出るほどの強風とか。咳は体に大きな圧力をかけることが分かるだろう

 咳とともに吐き出される痰(たん)は、体の中の状態を示す大事な手がかり。中には命に関わる病気のサインである場合も。番組では、夜に横になると咳が悪化し、体を起こすとおさまる症状に悩んだ森川猛さん、また卵白を泡立てたような白い泡状のタンを吐き出した切池正道さんのケースが紹介された。2人の病名は心不全。「たかがセキ」ではなく、命に関わる心臓の病気が原因だった。

 就寝時に体を横にすると、足を巡っていた血液が速やかに心臓に集まる。ところが心臓が弱っている場合、大量の血液を素早く循環させることができずに、血液が心臓の手前の肺で渋滞し、肺が水浸しになる「肺水腫」を起こしてしまう。何とか痰として水分を排出しようと咳が出続け、泡状の痰を吐くという。

 心不全の疑いがある要注意の咳は、(1)夜中に出る、(2)起き上がると楽になる、(3)泡状の痰を吐く―のが特徴。この3点がそろったら、急いで診察を受けた方がよいという。

ネバネバ痰で長引くセキの原因は?

 NHKの植木奈織子アナウンサーは、1カ月半もこみ上げるような咳に悩まされたが、耳鼻咽喉科で治療を受けるとピタリと治まってしまったとか。植木アナの咳の原因は、副鼻腔(びくう)炎による鼻水だったのだ。

 普段は意識していないが、さらさらした鼻水が自然に喉の方に流れ込んでいる。ところが副鼻腔炎(蓄膿=ちくのう=症)になると、鼻水は粘りのある黄白色に変化。鼻の穴から出るだけでなく、鼻の後ろ側から喉にも回り、気道に入って咳を引き起こすという。

 これを後鼻漏(こうびろう)といい、黄白色の痰が朝方に多く出るような咳は、肺の問題ではなく鼻に問題があることが多いとされる。内科でなく、耳鼻咽喉科の受診が勧められている。

緑色、さび色、白に赤の点...痰の色にご注目

 「痰は肺の中の情報を持ってきてくれる宝物」と言うのは、番組ゲストの日本医科大学呼吸ケアクリニック(東京都千代田区)の木田厚瑞所長。通常、肺は1日に100ccほどの痰を作る。健康な時の痰は、透明でさらりとしているのだが、肺などに変化が起きた場合は、痰も症状によって色を変えていくという。

 緑色の膿(うみ)のような痰は、重い気管支炎や気管支肺炎、気管支拡張症など。さび色の痰は、肺炎球菌性肺炎といった感染症のあらわれ。白に赤色の点々が交じる痰は、肺がんや肺結核などのサインだとか。また、これらとは異なり、胃食道逆流症による胃液が肺に入って咳が出る場合もあるそうだ。

痰を楽に出すスゴ技!

 「咳は肺の中に入った異物を出そうとする行為ですから、止めてはいけません」と木田所長。しかし、なかなか異物を出せずに咳が続くと、特に高齢者は疲れてしまう。番組では、こうした痰の切れない患者に医療現場で「パフィング」というテクニックを指導していることが紹介された。

 大きく息を吸い込み、「パッ!」と言いながら、勢いよく息を吐き出す。「パ」の音は唇を開放するため、吐き出す息の強さが格段に高まり、異物=痰が吐き出しやすくなるそうだ。喉に引っかかった痰に苦しむ時はぜひお試しを。

風邪の咳を和らげる方法

 番組ではさらに、風邪の咳を和らげる方法として、ハチミツを使ったものが紹介された。子供の場合なら、小さじ2杯程度のハチミツを湯で倍に薄め、眠る前に少しずつスプーンで与えると、ハチミツの粘膜保護作用で喉の痛みと咳が和らぐという。

 大人の場合は、コーヒー1杯にハチミツ小さじ2杯を加えて、ゆっくり飲むのがおすすめとか。カフェインには咳を鎮める効果があり、ハチミツとの相乗効果が期待できるそうだ。

(米原まゆみ)

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