NY最新健康事情
2016年02月29日 06:00 公開

NYの「菌」

 みそ、納豆、みりん...日本人にとって欠かせない発酵食品(fermented food)。その発酵を行っているのが菌。ニューヨーク(NY)は今、菌に本気です。著書『The Maker's Diet』が250万部を記録したベストセラー作家、ジョーダン・ルービン(Jordan Rubin)さんは今年1月、最新の著書『Planet Heal Thyself』を発行しました。この書籍が、NYっ子の関心を菌に向けさせているのです。

菌と人間の健康の関係性

 『Planet Heal Thyself』の邦題を考えるならば、『惑星の自己治癒力』といったところでしょうか。「地球」でもなく「人間」でもなく、「惑星」です。副題は「The Revolution of Regeneration in Body, Mind, and Planet」、「再生の革命―カラダ、ココロ、そして惑星」かな? この「惑星」「土壌」の良しあしが良い菌の育成を左右し、さらには人間の健康をも左右するというのです。

 ルービンさんは19歳のときに難病(クローン病)を発症し、医師から「薬による治療と入院生活をなくして生きられない」と宣告されました。にもかかわらず、40歳を過ぎた今、信じられないほどの健康的な肉体を手に入れています。

 こうした経験は、多くの米国人の耳を傾けさせているのです。ルービンさんの活躍の場は著述業にとどまらず、自身の名前を冠したテレビの健康番組の司会、一流スポーツ選手が顧客の健康アドバイザー、自然食品会社やオーガニック牧場の経営など、多岐にわたっています。まさに時代の寵児(ちょうじ)と言えるでしょう。

 今回の著書では、そんなルービンさんが自身の経験から、良い土壌や良い菌による発酵、人間の手を使い栽培された元気な植物の力などのつながりの上に、人間の健康があると説いています。健康の流行に敏感なNYの人々、早速アンテナを刺激されているようです。

良い菌が安心して棲める良い"土壌"が大切

 発酵食品といえば、2年前にNYで、240年の歴史を持つ日本の「九重味醂」のみりんを紹介するイベントが開催され、成功を収めました。私も参加したのですが、日本人にもかかわらず、「"本物"のみりんはこんなにおいしく飲めるんだ!」とか、「チーズやフルーツ、野菜と組み合わせるとよりおいしくなるのか!」など、さまざまな発見がありました。

 このイベントを企画したのが、菌や発酵食品について長年取り組んでいる酒井美保子さん。彼女とは2007年に東京で、ローフード(リビングフード)に関するイベントを一緒に開きました。

 発酵食品は世界中にあります。チーズやヨーグルト、ドイツのザワークラウトや韓国のキムチなんかもそうです。私たちの体内の細菌は、人間の細胞の数よりも多いのだとか。最近は医学界で腸内細菌叢(腸内フローラ)が注目されているようですが、菌は腸だけでなく、全身のあらゆる場所に影響し、精神の健康にも影響することが分かってきています。良い菌が安心して棲(す)める良い"土壌"、"惑星"を維持するのは、結局私たちの健康を守ることにつながるのですね。

スタントン治子(すたんとん・はるこ)

 神戸市生まれ。健康運動指導士、インド中央政府認定ヨガ教師、全米ヨガアライアンス250h、ピラティスPFA、シバナンダヨガ認定、ジャイロキネシス認定、パーソナルトレーナー。レヴァン(現ティップネス)のフィットネストレーナーなどを経て、1994年にパーソナルトレーニングを開始。ヨガやピラティスの講師や団体顧問トレーナーも務める。2013年、結婚を機に米国へ移住。現在は、マンハッタンのベッドタウンであるニューヨーク州ウエストチェスターでパーソナルトレーナーとして活動している。NHK総合の番組でジャイロキネシスの指導を依頼されるなど、メディア出演も多数。