2016年03月10日 06:00 公開

足元冷えると高血圧に―自治医大・慶大調査

床上1メートルよりも影響大、心筋梗塞や脳卒中の危険性高める可能性

 冬は、心臓病や脳卒中などを起こしやすい季節。寒いと血管が収縮し、血液の流れが悪くなったり、血圧が高くなったりすることがその原因とされている。このことから、できるだけ室内の寒暖差をなくし、暖かく過ごすことが勧められている。それに加え、心臓病や脳卒中など心血管病の予防には「足元の冷え」対策も講じるとよいかもしれない。自治医科大学医学部の苅尾七臣主任教授(循環器内科)や慶応義塾大学の伊香賀俊治教授(理工学部)らは、秋から冬にかけて実施した調査から、血圧の上昇には床上1.1メートル付近よりも足元(床上0.1メートル)付近の室温低下の方がより強く影響することが分かったと発表した。この結果は、日本心臓財団のメディアワークショップでも報告された。

足元の室温10度低下で血圧9mmHg上昇

 これまでにも、室温の変化と血圧の上昇や心血管病の起こりやすさとの関係を調べるため、数多くの研究が行われてきた。ただ、そのほとんどで、床から高さ1メートル付近の気温が測定されていたという。

 今回、苅尾主任教授らは、床からの高さによる室温の違いに着目。2014年11月から15年2月にかけて、首都圏の100世帯・男女180人(35~74歳)を対象に、室内の床から0.1メートル(足元)、1.1メートル(座ったときの頭の高さ)、1.7メートル(立ち上がったときの頭の高さ)の室温が血圧に与える影響について調査した。なお、このうち46世帯は断熱性能が低い住宅に、20世帯は同性能が高い住宅に住んでいた。

 まず、朝起きたときの室温は、低断熱性能の住宅では床から1.1メートル付近が20度でも0.1メートル付近では約15度で、床からの高さによって5度も温度差があった。それに対し、高断熱性能の住宅では温度差は0.5~2度にとどまった。

 さらに、低断熱性能の住宅に住む50歳以上の人を調査したところ、床上1.1メートルの室温が10度下がると収縮期(最大)血圧が平均で5mmHg高くなることが示された。一方、床上0.1メートル付近では同程度の室温低下でも収縮期血圧は平均で9mmHg高くなり、床上1.1メートルよりも0.1メートル付近の方が室温低下による血圧の上昇度が大きいことが分かった。

家の断熱性能によって血圧7.8mmHgの差

 また調査では、床からの高さによって気温差が大きい低断熱性能住宅に住んでいる人では、高さによる気温差が小さく室内が満遍なく暖まる高断熱住宅に住んでいる人に比べ、朝起きたときに測定した血圧の平均値が平均で7.8mmHg高かったという。

 苅尾主任教授らは、このような気温の低下で血圧が上昇する病態(10度の気温変化で血圧が10mmHg以上変動する病態)を「気温感受性高血圧(thermosensitive hypertension)」と命名。これが冬に心血管病の危険性が高まる要因の一つと説明した。さらに、今回の調査結果を踏まえ、「住環境を改善し、足元の温度管理に気を付ければ、気温感受性高血圧を回避し、心血管病を予防につなげられる可能性がある」との見解を示した。

(あなたの健康百科編集部)

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