2016年03月14日 06:00 公開

女性への心臓マッサージ実施率はなぜ低い? パリで調査

 心臓が止まって倒れた人がいたら、周りにいる人たちがいち早く心臓マッサージ(胸骨圧迫)やAED(自動体外式除細動器)による「心肺蘇生」を行うと、救命率が上がるといわれている。公共の場でのAED設置が進み、心肺蘇生をレクチャーする場も増えていることから、近頃は心臓が止まった人を救命できるケースが増えているという。ところが、こうした一般市民による心肺蘇生の実施率が、男性に比べて女性では低いことがフランス・パリで行われた調査で分かった。はたして、そのわけとは―?

病院に運ばれた時点の生存率も女性の方が低い

 この調査結果は、昨年に英ロンドンで開かれた欧州心臓病学会の会合で報告されたもの。3月8日の国際女性デーに合わせ、新しいデータが加えられた結果を同学会が改めて発表した。

 調査では、パリ市内・郊外の病院以外の場所で心臓が止まった人1万1,420人(40%が女性)について調べたところ、医療従事者以外が心肺蘇生を行った割合が男性の70%に対し、女性では60%と低かった。また、病院に運ばれた時点の生存率も、女性の方が低かったという(男性26%、女性18%)。

 また、病院に運ばれた時点で生存していた人に対し、血管の状態や流れを調べたり、治療したりするための検査(血管造影)が行われる割合も、男性の60%に対して女性では40%と低かったとの報告がある。

 なぜ、女性では心肺蘇生や検査の実施率が低いのだろうか。これについて、フランス・ジョルジュポンピドゥー欧州病院のニコル・カラム医師は「男性に比べて体格の小さい女性に胸骨圧迫を行うと、体を傷つけてしまうかもしれないと躊躇(ちゅうちょ)してしまうのではないか」と推察。また、心臓病は女性よりも男性で多いため、女性の心臓が停止しても心臓病が原因のケースは少ないという思い込みがあるのかもしれないという。

 しかし、カラム医師は、検査(血管造影)が行われた女性の3分の1に心血管病が見つかっており、女性に対しても血管造影を行うことは時間の無駄ではないとしている。また、同医師の病院に運ばれてきた女性の心臓停止患者は、前日に失神や目まい、動悸(どうき)、息切れがあった人が多かったと説明。胸の痛みがある場合にはやり過ごさずに、できるだけ早く医療機関を受診するようアドバイスしている。

(あなたの健康百科編集部)

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