2016年03月30日 18:00 公開

ゴッホもかかっていた「双極性障害」を知って!

誕生日の国際デーに向け啓発イベント開催

 3月30日は世界双極性障害デー。画家のフィンセント・ファン・ゴッホがこの病気にかかっていたとされることから、その誕生日に制定されている。日本うつ病学会は3月27日、世界双極性障害デーに向け、東京都内で啓発イベントを開催(関連記事1:双極性障害ってどんな病気?/関連記事2:外見では分からない双極性障害者の苦しみ、当事者らが講演)。病気に対する正しい知識と理解を深めてもらおうと、専門家や当事者らが講演を行った。

抗うつ薬を服用してもよい?

 今回の来場者数は74人。その大半が双極性障害の当事者とその家族のようだった。登壇した専門家らから、薬物療法(薬による治療)や精神療法(心理的な治療)について、当事者やその家族に向けてより具体的な講演が行われた。

 薬物治療については、東京女子医科大学東医療センター精神科の山田和男部長が、抗うつ薬の使用の是非をめぐる講演を行った。

 うつ病と同じようなうつ状態(うつ病相)に加え、躁(そう)状態(躁病相)を交互に繰り返す双極性障害(躁うつ病)では、うつ病相に抗うつ薬を服用すると躁病相に転じる「躁転」を引き起こしかねないとされる。従って、日本うつ病学会の治療ガイドライン(指針)でも推奨していない。

 ただ、山田部長は「治療ガイドラインで推奨する薬のみの治療では、どうしても寛解(病状が落ち着いて安定した状態)に至らないケースも多い」と指摘。そうした患者には、「躁転しないような作用を持つ気分安定薬と一部の抗うつ薬(SSRIなど)の併用を考慮してもよいだろう」と述べた。

ストレス軽減が期待できるSST 

 精神療法については、北里大学北里研究所病院精神科の高橋恵部長が、社会技能訓練(SST)を紹介した。SSTは、相手の考えや感情を正確に読み取り、その場にふさわしい行動を考えて実践する訓練を繰り返す訓練法。実生活でのストレスが軽減できるなどのメリットが期待される。

 SSTはうつ病のほか、統合失調症やアルコール依存症などの精神疾患の治療にも導入されているが、高橋部長は「教育や就労支援にも使われている。健康な人にもコミュニケーションが苦手な人は多いため、SSTを学ぶ場があった方がいい」と主張した。

 このほか、当事者やその家族による体験談も披露された。社会の偏見や差別により病気とは別の苦しみを味わわされてきた中にあって、なぜ登壇を決意したのか。当事者として発表に臨んだ望月紀公乃さんは「病気についてオープンに語ることで、自分自身が病気を受け入れ、この病気に打ち勝とうという気持ちになれるので」と話した。当事者家族として壇上に立った江島信之さんは「私自身がつらい思いをしてきたので、他の当事者家族の人たちに少しでも参考になればと思った」と語った。

 なお、日本うつ病学会では、今年の総会(8月5~6日、名古屋市)のテーマを「うつ病・双極性障害を診る・支える・知る」とし、市民公開講座を通じて一般市民への情報公開や啓発にも努めるという。

(松浦庸夫)

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