2016年04月04日 10:30 公開

末期がんの療養は入院よりも自宅? 在宅患者の方が長生き

がん患者2,000人調査―筑波大

 末期がんを宣告された場合、最期までの期間を自宅で過ごすか病院で過ごすか―難しい問題だ。そんな選択を迫られた際のヒントになるような研究結果が、3月28日発行の米がん専門医学誌「Cancer」に発表された。筑波大学付属病院総合診療グループの浜野淳講師ら研究チームは、日本の進行がん患者約2,000人を対象に調査を実施。その結果、病院で死を迎えた人に比べ、自宅で死を迎えた人の方が長く生きたという。浜野講師らは「自宅で死を迎えることを望む人は多いが、在宅では病院と同じレベルの治療が受けられないのではないかとの懸念から、最終的に病院で治療を受け、病院で亡くなることを選ぶ人は多い。今回、そうした懸念は不要であることが示唆された」としている。

生存期間に1週間の差

 重い病気があり、自分の死期が迫っていることを悟った時、「住み慣れた自宅で死を迎えたい」と望む人は多い。しかし、実際には自宅での死を望んでいながら病院で死を迎える人は多い。その背景には、「在宅で受けられる医療には限界があるため、少しでも長生きするには病院で過ごす方が良いのではないか」との考えから、最終的に病院での治療やケアが選ばれやすいことがある。

 浜野講師らは、2012年9月から14年4月にかけて国内の病院など58施設で、痛みや呼吸困難を軽減するための治療(緩和ケア)を受けた20歳以上の進行がん患者2,069人(平均69.4歳)のデータを分析した。

 このうち、病院で亡くなった1,607人(病院死グループ)と自宅で亡くなった462人(在宅死グループ)の生存期間(緩和ケアを紹介された日から亡くなった日までの期間)を調べた。その結果、緩和ケアを紹介された時点で予測された余命が0~13日だった人の実際の生存期間は、病院死グループの9日間に対して在宅死グループでは13日間と、より長いことが分かった。また、予測された余命が14~55日だった人の実際の生存期間も、それぞれ29日間、36日間と、より長いことが示された。しかし、予測された余命が56日以上の人では差がなかったという。

 浜野講師らは「病院と比べ、自宅で受ける緩和ケアの質は劣るのではないかと懸念する向きもあるが、がん患者が自宅で死を迎えることを選んでも生存期間は短縮しないばかりか、むしろ延長する可能性が示された」と説明している。

(あなたの健康百科編集部)

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