2016年04月08日 06:00 公開

夫や妻との別れで脳卒中リスク高まる―国がん調査

女性は「仕事なし」+「夫なし」でリスク3倍に

 配偶者との離婚や死別といった婚姻状況の変化によって、脳卒中の発症リスクが1.26倍に高まることが、国立がん研究センターによる40歳以上の男女5万人の調査から分かった。特に男性の場合、妻を失うと、脳卒中のうち血管が破れて脳内で出血する「脳出血」の危険性が1.5倍になることが明らかになった。一方、女性の場合には、仕事をしていない女性が夫を失うと、仕事をしていて夫もいる女性に比べ脳卒中リスクが3倍に高まることなども示されたという。同センター社会と健康研究センターセンター長の津金昌一郎氏らが3月1日発行の米医学誌「Stroke」(電子版)に報告した。

「子供と同居」でさらにリスク上昇

 離婚や死別などでパートナーを失うことが、心臓病などの病気の危険性を高めるとの報告は多い。しかし、こうした婚姻状況の変化が脳卒中に関係するかどうかは明らかにされていなかったという。そこで今回、津金氏らは全国9地域に住む40~69歳の既婚男女約5万人を平均で15年間追跡調査したデータを分析し、配偶者と同居している状態から別居へと婚姻状況が変化することが、脳卒中を発症するリスクに関係するのかどうか調べた。その結果、男女ともに既婚から非婚への婚姻状況の変化によって脳卒中の危険性が1.26倍に高まり、特に脳卒中のうち脳出血のリスクは男性で1.48倍に、女性では1.35倍になることが分かったという。

 また、配偶者を失った後、親と同居することで、男性では脳卒中リスクが低下するのに対し、女性では逆にリスクが上昇することも示された。さらに、配偶者を失った後、子供と同居していた男女では、婚姻状況に変化なく子供がいない人に比べ、脳卒中リスクが1.45倍に高まった。

 この他、女性では仕事をしているか否かも脳卒中リスクに強く関係していることも分かった。仕事がなく、配偶者を失った女性では、仕事を持ち、配偶者のいる女性に比べ脳卒中を発症するリスクがほぼ3倍に達した。

 なぜ婚姻状況の変化が脳卒中リスクを高めるのか―。津金氏らは、「過去の研究で配偶者を失うとお酒を飲む量が増えたり、野菜や果物を食べる量が減ったりすることが示されている。また、心理的なストレスが増え、生活を楽しめなくなる傾向が認められたことも報告されている」と説明。こうした変化が脳卒中の発症リスクを高めるのではないかとの見方を示している。

 さらに、子供との同居でさらにリスクが高まることについては、配偶者を失ったことによる影響に加え、「親」としての役目が重い負担となっている可能性があると考察。今後、脳卒中を発症する危険性が特に高い人はどのような人かを知る手がかりとして、その人を取り巻く社会環境も考慮する必要があることが示されたとしている。

(あなたの健康百科編集部)

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