2016年05月10日 06:00 公開

糖質制限、自己流で脳卒中や心筋梗塞の恐れも

“カット”より“吸収抑える” がポイント

 ご飯やパン、麺類などに含まれる糖質を制限する食事法「糖質制限」が浸透する中、間違ったやり方で逆に体調を崩す危険性が指摘されている。「医師など専門家の管理指導の下で行われる糖質制限と違い、自己流で極端な方法は逆効果な上、脳卒中や心筋梗塞などを引き起こす恐れがある」と警鐘を鳴らすのは、東京慈恵会医科大学附属病院(東京都港区)栄養部の濱裕宣課長(管理栄養士)だ。「糖質は"カット"するよりも、"吸収を抑える"ことがポイント」という濱氏に、吸収を抑えるある食材を教えてもらった。

間違った糖質制限で太る

 糖質は、ご飯やパン、麺類などの炭水化物に多く含まれる他、砂糖や果物などにも含まれる三大栄養素の1つ(あとの2つは「タンパク質」と「脂質」)。血糖値を上げる働きがあるため、糖尿病患者の血糖値上昇を抑える食事療法として生まれたのが糖質制限だ。ダイエット効果も期待できることから、欧米をはじめ、日本でもダイエット法として一般化している。

 しかし、一般化に伴い自己流で極端な糖質制限も行われるようになり、かえって健康や美容に悪影響を及ぼしていることが、専門家から指摘されている。

 数多くの院内食を考案してきた濱氏は「糖質制限が必ずしも健康を害するとは断言できないが、間違った糖質制限により偏った食生活を続け、脳卒中や心筋梗塞に陥る可能性は否定できない」と警告。そうした命に関わる病気や症状に至らなくても、間違った糖質制限によって3つの弊害が起こる可能性があるという()。

糖質の吸収を抑える「もち麦」とは

 ところで、700人を対象に行われたある調査によると、糖質制限がこれだけ話題になっているにもかかわらず、「糖質制限を行いたくない」と考えている人の割合は70%(499人)を超えていたという。

 糖質制限は行わなくても、肥満や生活習慣病のリスクを抑えつつ、適度な糖質を摂取するにはどうしたらよいのだろうか。 濱氏によると、それには「もち麦」という大麦の仲間が適しているという。

 大麦は、小麦と比べ糖質が少なく、食物繊維が多く含まれるのが特徴。その仲間であるもち麦には、「大麦β-グルカン」と呼ばれる水溶性の食物繊維が豊富に含まれている。大麦β-グルカンには、糖質の吸収を抑える働きがある上、血中コレステロール値を正常化したり、満腹感を持続させたりする効果も期待できることから、世界中で評価が高まっているという。なお、欧米諸国ではわが国の機能性表示食品に相当する健康食品に効果を表示するための大麦β-グルカンの必要量を1日当たり3グラムとしている場合が多いようだ。

 もち麦は現在、慈恵医大病院で院内食として数々のメニューに取り入れられている他(写真)、もち麦を使った製品が機能性表示食品としても一般に流通するなど、注目度が高まっている。


(松浦 庸夫)