2016年05月12日 00:06 公開

ノロウイルスで世界の損失6兆円ー米研究者ら試算

 激しい嘔吐や下痢、腹痛などを引き起こすノロウイルス感染。特に子供がいる家庭では、家族内で感染が広がり、子供から感染した親が仕事を休まざるを得なくなるなど経済的な負担を強いられる場合も珍しくない。こうしたノロウイルスによる胃腸炎にかかる人は、わが国では年間100万人に上り、全世界では年間約7億人に達すると推定されている。さらに、その医療費や仕事を休むことなどによる経済的な損失は、世界で600億ドル(1ドル108円換算で6兆5,000億円)に上ることが、米ジョンズホプキンス大学公衆衛生学の研究グループによる試算から明らかになった。詳細は4月26日発行の科学誌「PLOS ONE」(電子版)に掲載されている。

ロタによる損失はるかにしのぐ

 ノロウイルスは感染力が極めて強く、集団感染を引き起こしやすい。日本では空気が乾燥する冬に特に感染しやすい。保育園や幼稚園で感染した子供が最初に発症し、次に親にも感染するなど、家庭内で広がる場合も多い。親にとっては、子供の看護のために仕事を休み、さらに自身が感染したために休業期間を延長せざるを得なくなれば、身体的な負担だけでなく経済的な負担も大きい。

 今回、研究グループは世界233カ国・地域のデータに基づきノロウイルスによる胃腸炎に起因した経済的な損失を、治療費(医療費)だけでなく仕事を休んだり仕事の効率が落ちたりするなどの社会的な費用も含めて試算した。その結果、ノロウイルスによる胃腸炎のために使われた医療費は世界全体で年間42億ドル(4,500億円)、社会的費用は600億ドルと推定された。

 研究グループは、乳幼児に下痢を引き起こすロタウイルスは5歳以上では重症化しにくく、経済的損失は推定で20億ドル(2,160億円)とノロウイルスによる損失を大幅に下回ることを指摘。「ノロウイルスによる影響の大きさを考慮すると、効果的なウイルスの検出方法や感染予防、治療などを見つけることが重要」と主張している。

(あなたの健康百科編集部)

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