2016年05月16日 06:00 公開

子供の胃腸炎、脱水予防には薄めたリンゴジュースが良い?

経口補水液よりも効果あり―カナダ研究

 下痢や嘔吐といったつらい症状を引き起こす胃腸炎は、幼い子供がよくかかる病気の1つ。胃腸炎になったら脱水症にならないよう、こまめな水分補給が重要になる。そんなときには脱水状態になると不足しやすい電解質を含んだ経口補水液が勧められることが多い。ところが、カナダ・カルガリー大学の小児科医などが生後6カ月から5歳までの子供650人を対象に実施した臨床研究から、重症の胃腸炎でなければ、水分補給には一定の電解質を含んだ経口補水液よりも、2倍に希釈したリンゴジュースの方が優れている可能性が示された。この研究結果は4月30日発行の米医学誌「JAMA」(電子版)に掲載されている。

専門団体は経口補水液を推奨しているが...

 脱水症の時や、脱水症になりそうな時には水分や電解質の補給が重要とされ、そのためには一定の電解質を含んだ経口補水液が最適だと考えられている。これは、わが国だけでなく世界共通の認識。米国小児科学会といった海外の専門家団体も、胃腸炎の子供が飲み物から水分補給する場合には経口補水液の摂取を推奨している。

 しかし、今回の研究を実施したカルガリー大学のグループは、こうした推奨の根拠となっているのは胃腸炎になると重度の脱水症になりやすい衛生環境の悪い低所得国で実施された調査だと指摘。より衛生環境が良く、低所得国と比べれば重度の脱水症にはなりにくい先進国であるカナダでも経口補水液が最も優れているのかどうか調べるために今回の臨床研究を行うことにしたという。

リンゴジュース+好きな飲み物で入院や点滴の必要な状態になる可能性低く

 臨床研究の対象は、下痢や嘔吐などの胃腸炎の症状でトロントの小児病院の救急外来を受診した生後6カ月から5歳までの子供約650人。ただし脱水状態が軽度の子供のみで、重症の胃腸炎の子供は研究に含まれなかった。このうち半数の子供を、病院にいる間は2倍に希釈したリンゴジュース、退院後は好きな飲み物(ジュースや牛乳、スポーツドリンクなど)を少しずつ飲むグループに、残りの半数を病院にいる間も退院後も電解質を維持する経口補水液を少しずつ飲むグループに分けた。

 その結果、入院や点滴での水分補給が必要になったり、体重が減ったりするなど、治療がうまくいかなくなる割合が、経口補水液グループでは25%を占めていたのに対し、リンゴジュース+好きな飲み物グループでは17%で、より低かったという。

 研究チームは、経口補水液はジュースよりも高価で、味も飲みやすくするためにフレーバーが付いていても子供には飲み続けることが難しいと指摘。今回の研究結果を踏まえ、「軽度の胃腸炎で脱水状態も重度ではない先進国の子供には、経口補水液の代わりに希釈したリンゴジュースや好きな飲み物を飲ませるのも妥当ではないか」との見方を示している。

(あなたの健康百科編集部)

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