2016年07月04日 06:00 公開

「不妊」経験者、2人に1人は治療求めず

英調査

 わが国では5年前に女性が初めて出産する平均年齢が30歳を超え、その後も上昇し続けている。高齢になるほど妊娠が難しくなることなどから不妊に悩むカップルは多く、その割合は6~7組に1組とも言われている。不妊カップルの増加はわが国だけでなく、女性の社会進出に伴い晩婚化が進む先進国の多くが抱える共通の問題だ。7月1日発行の医学誌「Hum Reprod」(電子版)には、英国でも女性の8人に1人、男性の10人に1人に不妊の経験があるとの調査結果が掲載された。男女約1万5,000人を対象としたこの調査からは、不妊経験者のうち不妊治療を受けたのは5割程度であることが分かったという。さらに、治療を受けなかった人には、ある特徴があることも浮かび上がってきたとしている。

「学歴」「職業的地位」高い人は治療求める傾向に

 2012年に発表されたある調査によると、不妊カップルは世界で4,850万組に上る。不妊の実態調査は国ごとでも行われてきたが、そもそも「不妊」とは何を指すのかが調査によってばらばらだった。今回報告された英国の調査では、「望んでいながら妊娠に至らなかった期間が1年以上」の場合を「不妊」と定義。英国在住の16~74歳の男女1万5,162人に不妊経験の有無を聞いた。なお、対象には既婚者やパートナーがいる人だけでなく、未婚者やパートナーのいない人も含まれていたという。

 今回の調査からは、女性の13%、男性の10%に不妊の経験があることが示された。ただ、不妊経験があっても不妊治療を受けようとしたことがあるのは女性の57%、男性の53%のみだったという。さらに、不妊治療を受けようとしたことがある男女の特徴として、「高学歴」「職業的地位の高さ(管理職や技術職、専門職などに従事)」などが浮かび上がったという。

 この結果について、調査を実施したロンドン大学衛生熱帯医学大学院のジェシカ・ダッタ氏は「不妊経験があっても治療を求めなかった人が半数に上ることに驚いた」とコメント。また、治療を求めない背景には、単純に「妊娠を望んでいないから」という理由の他、「不妊と認識、あるいは理解できていない」「治療費の高さへの懸念」「治療による精神的および身体的な負担」といったことがあるのではないかと推察している。

 調査ではこの他、不妊経験がある50歳以下の女性は、経験がない女性に比べて抑うつ症状や性生活への不満がある人が多い傾向が認められたという。ダッタ氏は「これまでの研究で、不妊治療と性的不満が関係することが指摘されている。ただ、今回の調査では、不妊経験の時期と抑うつ症状を経験した時期や性的不満を感じていた時期の前後関係については調べていないため、因果関係があるのかどうかは分からない。今後、不妊経験が女性の長期的な健康にどのように影響するのか調べたい」としている。

(あなたの健康百科編集部)