2016年07月13日 06:00 公開

糖質制限、長く続けるべきでない理由とは

 ご飯やパン、麺類などの主食やイモ類などの炭水化物を減らす「糖質制限ダイエット(糖質制限食)」は、シンプルでわかりやすく、誰でもすぐに始められる人気のダイエット法だ。ただ、腎臓の機能が落ちている場合など体の状態によっては糖質制限がさらに体調の悪化を招く場合も。さらに、その減量効果が期待できるのは短い期間だけで、1年以上は続かないばかりか、長期的には死亡率を高めるとの研究結果も報告されているという。5月19~21日に京都で開かれた日本糖尿病学会のシンポジウム「食事療法の新たなエビデンスを求めて」では、京都府立医科大学大学院内分泌代謝内科学の福井道明教授が、こうした医学的なデータを紹介した上で、糖質制限がどんな人に向いているのか、どんなことに注意すべきかなどについて解説した。

「腎臓が正常+肥満の人が短期間だけ実施」がベスト

 福井教授によると、糖質制限による減量効果は複数の研究で確認されている一方で、その効果は長続きしないとの研究結果が報告されているという。例えば、2006年に米国の医学誌「Arch Intern Med」に発表された研究では、糖質制限食と低脂肪食のいずれかでダイエットした人を比べたところ、ダイエット開始から半年間は低脂肪食よりも糖質制限食を続けた人の方が体重が減っていたが、1年後には差がなくなることが明らかになったという。このことから、同教授は「糖質制限を行うなら短期間にとどめておいた方が良い」との見解を示した。

 また、糖質を制限すると他の栄養素でエネルギーを補おうことになるため、タンパク質や脂質の摂取量が増えてしまう場合が多い。しかし、軽度であっても腎臓の機能が低下している人がタンパク質を取り過ぎると、さらに腎臓が悪くなることが分かっているという。そのため、同教授は「腎臓病がある人には糖質制限食は勧められない」と強調した。

 さらに、糖質制限を長く続けると死亡リスクが高まるとする研究結果が2010年、同じ「Arch Intern Med」に発表されたという。この研究では、食事に炭水化物が占める割合を10段階にスコア化したところ、炭水化物の割合が低くなるほど死亡率が高まることが明らかにされた。なお、この研究では植物性タンパク質を多く摂取した人では死亡率が低いことも分かったという。

 これらの研究を踏まえると、糖質制限が向いているのは「腎臓の機能が正常な肥満の人」と同教授。「糖質制限食を始めるなら、食物繊維やビタミン、ミネラルが不足しないよう野菜をたくさん食べ、脂質やタンパク質の質にも注意する必要がある」と助言した。

(あなたの健康百科編集部)