2016年07月26日 06:00 公開

脳卒中の9割は予防可能

カナダ研究者ら32カ国のデータ分析

 日本人の死因の第4位であり、死に至らなかったとしても重い後遺症が残ることがある脳卒中。何の前触れもなく突然、発症するイメージがあるが、高血圧や食生活の乱れ、運動不足などが続くと血管が少しずつ傷み、破れたり詰まったりして発症する。このことから、脳卒中の予防にはこれらの脳卒中を起こしやすくする状態(危険因子)を早めに改善しておくことが大切だとされている。脳卒中の危険因子について以前から研究を進めていたカナダ・マクマスター大学ポピュレーションヘルス研究所のマーティン・オドンネル氏らは、世界32カ国の脳卒中患者を含む約2万7,000人を対象に調査を実施。「世界の脳卒中の約9割は、高血圧など適切に管理すれば改善できる危険因子が原因で発症していた」とする結果を7月15日発行の英医学誌「ランセット」(電子版)に発表した。

5割は高血圧が原因

 調査の対象は、北南米や欧州、中東、アフリカ、アジア地域の国々とオーストラリアの2万6,919人。このうち1万3,447人が脳卒中患者だった。アジア地域からは中国、インド、パキスタン、フィリピン、タイ、マレーシアが参加しているが、日本人のデータは含まれていない。

 オドンネル氏らは、調査データを基に、脳卒中を引き起こす原因として知られる危険因子ごとに、脳卒中患者数をどの程度増やしたかを示す「人口寄与危険度割合」を算出した。その結果、「高血圧」が48%と脳卒中の原因として最も影響力が強いことが分かったという。また、高血圧の他、運動不足(36%)や不健康な食事(23%)、肥満(19%)、喫煙(12%)などの適切に管理すれば改善できる10の危険因子を合わせると、人口寄与危険度割合は9割に達した。これは、これらの危険因子に対処すれば世界の脳卒中の9割は予防できる可能性があるということだ。

 なお、オドンネル氏らは2010年にも「高血圧をはじめとする10の危険因子が脳卒中リスクの9割に関係していた」とする世界22カ国の6,000人を対象とした調査の結果を報告しているが、今回は調査対象を拡大。より多様な地域や人種でも同様の結果が導き出されたとしている。ただ、地域によって危険因子を持っている人の割合や、個々の危険因子と脳卒中発症との関係の強さに違いがあり、例えば脳卒中発症に対する高血圧の人口寄与危険度割合は欧米やオーストラリアの39%に対して東南アジアでは60%と高いことが今回の調査で初めて明らかにされたという。

(あなたの健康百科編集部)

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