2016年08月04日 06:00 公開

太ってなくても生活習慣病...原因は筋肉に?

 「肥満」や「やせ」といった体型の違いは、身長と体重を基に計算する「BMI」を指標に判定されることが多い。海外では肥満の基準は「BMI30以上」だが、わが国では「BMI25以上」。ただ最近、アジア系の人ではBMI25未満でも、糖尿病などの生活習慣病にかかる危険性が高いことが複数の研究から明らかになりつつある。そんな中、順天堂大学大学院医学研究科・代謝内分泌内科学・スポートロジーセンターの田村好史准教授らが100人以上の日本人男性を対象に実施した調査から、太っていなくても生活習慣病にかかる原因は筋肉にある可能性が浮かび上がった。BMI25未満で「肥満」の基準を満たしていなくても血糖や血圧、脂質に1つでも異常がある人は、筋肉で膵(すい)臓から分泌されるホルモンである「インスリン」が十分効果を発揮できていない「インスリン抵抗性」の状態にあることが分かったという。調査結果の詳細は7月5日発行の医学誌「J Clin Endocrinol Metab」(電子版)に掲載されている。

「普段からたくさん歩く」「ジョギング」で活動量+体力アップを

 肥満の人が糖尿病やメタボリックシンドロームといった生活習慣病にかかりやすいことは広く知られている。その原因として注目されているのが、血糖を下げるホルモンであるインスリンが十分な効果を発揮できない状態を指す「インスリン抵抗性」だ。ただ、アジア系の人は肥満でなくても生活習慣病にかかる人が多い。肥満でない人が生活習慣病にかかる場合、インスリン抵抗性はどのように影響しているのか―。その詳細を明らかにするため、田村准教授らは30~50歳の日本人男性でBMI23~25で肥満の基準を満たしていない70人と、さらにやせているBMI21~23の24人、BMI25~27.5で肥満の14人の肝臓と筋肉におけるインスリン抵抗性を測定した。

 その結果、BMI23~25で肥満の基準を満たしていなくても、血糖や血圧、脂質に1つでも異常がある男性は、筋肉にインスリン抵抗性が認められ、その程度はメタボリックシンドロームのある肥満男性と同じレベルだったという。一方、肝臓でのインスリン抵抗性に関しては肥満の人と肥満でない人の間に差はなかったとしている。

 同准教授らはさらに、筋肉のインスリン抵抗性をもたらす要因について調べたところ、以前から肥満の人で指摘されていた「内臓脂肪の多さ」などに加え、「体力のなさ」「日常的な活動量の少なさ」「高脂肪食」などが関係していることが明らかになった。また、「脂肪肝」には至らなくても肝臓に少し脂肪が蓄積している状態や、正常範囲内でも肝機能検査の値が少し悪くなっている状態も、筋肉のインスリン抵抗性に関係していることが分かったという。

 以上から、同准教授らは「太っていなくても糖尿病や心臓病の危険性を高める血糖や血圧、脂質の異常がある人では、筋肉におけるインスリン抵抗性が認められた。こうした人は、運動や食事などの生活習慣に特に注意を払う必要があると考えられる」と説明。特に運動に関しては、「普段からたくさん歩くようにするとともに、ジョギングなどの体力を向上させる取り組みが勧められる」としている。

(あなたの健康百科編集部)

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