2016年08月08日 06:00 公開

体外受精、受けても乳がんリスクに影響せず

オランダ女性約2万人調査

 体外受精(IVF)による不妊治療では、通常、飲み薬や注射による「排卵誘発剤」を用いた「卵巣刺激」が行われる。このことが、長期的には乳がんリスクを高める可能性があるのではないかと危惧されていた。しかし、オランダがん研究所のグループがIVFを受けた女性2万人を約20年間追跡調査した結果、IVFを受けた女性と受けたことがない女性の間で乳がんリスクに差はないことが分かった。調査結果の詳細は米医学誌「JAMA」(2016;316:300-12)に発表された。

薬の種類による影響もなし

 IVFによる不妊治療では、排卵誘発剤の飲み薬や注射で「卵巣刺激」を行い、複数の卵胞(卵子の入った袋)を育てて採卵することが多い。ただ、この卵巣刺激によって乳がんを発症するリスクが高まるのではないかとの懸念があった。それは、乳がんの発症には卵巣から分泌されるエストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンが影響することが分かっているからだ。

 このことから、本当にIVFを受けた女性が、その後乳がんリスクを発症しやすくなるのかどうかを明らかにするため、いくつもの調査が行われてきた。ただ、IVFが普及し始めたのは1980年代後半だったことから、IVFを受けた女性を長期間、追跡できた調査はなく、結論を得るには至らなかった。

 そこでオランダがん研究所などの研究グループは、オランダの不妊治療の専門クリニック12施設で1983~95年にIVFによる不妊治療を始めた女性1万9,158人と、1,980~95年にIVF以外の方法による不妊治療を始めた女性5,950人を大賞に、2013年まで追跡調査した。

 その結果、IVFを受けた女性と女性全体あるいはIVF以外の不妊治療を受けた女性との間に乳がんリスクの差はなかった。55歳までの乳がん発症率は、IVFを受けた女性で3.0%、IVF以外の不妊治療を受けた女性で2.9%だった。また、不妊治療に使われた薬の種類によるリスクの差も認められなかったという。

(あなたの健康百科編集部)