2016年08月10日 06:00 公開

変形性膝関節症の痛み、太極拳が効果

標準的治療法と遜色なし…米タフツ大など調査

 中国で古くから伝わる武術で、健康にも良いとして老若男女にポピュラーな太極拳。中国の公園では朝早くから市民が集まり練習する姿が見られる。その太極拳に、膝の痛みなどで数多くの中高年の男女を悩ませている「変形性膝関節症」の症状を軽減する効果があることが、米タフツ大学医学部などの研究グループによる調査から明らかになった。しかも、その効果は同症の治療指針で推奨されている標準的な治療法である理学療法の効果と遜色なかったという。調査結果は米医学誌「Annals of  Internal Medicine」(2016;165:77-86)に発表された。

効果的な治療選択肢に

 変形性膝関節症は高齢になるほど増加し、レントゲン検査で診断される患者数は国内だけで約2,500万人に上るという。変形性膝関節症の代表的な症状は、膝の痛みや腫れ、曲げ伸ばしが難しくなる「可動域制限」など。特に立ち上がる時や階段の昇り降りの際に痛みを強く感じるなどの症状に悩まされ、外出がおっくうになってしまうケースは少なくない。

 治療法には膝の曲げ伸ばしの訓練や膝を支える筋力を鍛える訓練などの理学療法(リハビリテーション)や、膝関節にかかる負担を軽くし、関節を安定化させるための装具の着用、関節の動きをなめらかにするためのヒアルロン酸注射、痛みや炎症を抑える薬による薬物療法などの「保存療法」の他、障害の程度によっては手術が考慮される場合もある。

 研究グループは今回、米国に住む変形性膝関節症がある男女204人(平均60歳、7割が女性)を対象に、米国の治療指針などで推奨されている標準的な治療(理学療法)を週2回のペースで6週間受け、その後自宅で指示された運動をするグループと、太極拳を週2回のペースで12週間続けるグループに分け、12週間目の痛みの程度を比べた。その結果、12週目の痛みの程度は両グループで改善し、太極拳にも標準的な治療法と遜色ない効果が期待できることが分かった。さらに、標準的な治療を受けたグループよりも太極拳を続けたグループの方がうつ病や生活の質(QOL)がより大きく改善していたという。

 この結果について、研究グループは「心と体のエクササイズである太極拳は理学療法とは大きく異なるが、それぞれの変形性膝関節症に対する治療効果はほぼ同等だった」と説明。その上で、「太極拳も変形性膝関節症の効果的な治療選択肢として考慮すべき」との見方を示している。

(あなたの健康百科編集部)