2016年08月15日 06:00 公開

体外受精の胚移植は「新鮮」よりも「凍結」

赤ちゃん授かる可能性高まる―米中の共同調査

 ホルモンのバランスが崩れることで排卵しにくくなる多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、不妊症の代表的な原因の1つ。女性の20人に1人はPCOSと言われ、珍しい病気ではない。PCOSで不妊治療中、あるいは治療を計画している女性も少なくないだろう。そんな女性が治療を選択する際に参考になりそうな調査結果が米医学誌「New England Journal of Medicine」(2016; 375:523-533)に掲載された。中国と米国の医師らが共同で実施したこの調査では、PCOSの中国人女性約1,500人の体外受精で凍結胚または新鮮胚のいずれかを移植。その結果、新鮮胚を移植した女性よりも、凍結胚を移植した女性の方が、妊娠して赤ちゃんが生まれてくる割合(生児出生率)が高かったという。

卵巣過剰刺激症候群の発生は抑える

 結婚年齢の高齢化などを背景に、わが国では不妊治療を受けるカップルは増加傾向にあるが、世界でも体外受精は急速に普及。これまでに体外受精によって生まれた子供の数は500万人を超えると推定されている。

 体外受精では採卵した卵子と精子を受精させた胚を、採卵した周期に子宮に戻す「新鮮胚」の移植が一般的だが、最近は凍結した胚を次回以降の周期に合わせて融解してから子宮に戻す「凍結胚」の移植が広がりつつある。それは、治療で採卵するために使われる排卵誘発剤による影響で子宮内膜が薄くなり、うまく着床しない場合が多いため、別の周期に合わせて移植した方が妊娠しやすい可能性が浮上してきたからだ。

 そこで今回、研究グループは新鮮胚移植と凍結胚移植を比べるため、中国の14の不妊治療センターで初めての体外受精を予定しているPCOSの女性1,508人を対象とした調査を実施。このうち762人には新鮮胚移植を、746人には凍結胚移植を行った。

 その結果、生児出生率は新鮮胚を移植したグループの42.0%に対して凍結胚を移植したグループでは49.3%と高かった。一方、不妊治療を受けるPCOS の女性は特にかかりやすいとされる卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の発生率は、新鮮胚移植のグループの7.1%に対して凍結胚移植のグループでは1.3%と低かった。ただ、妊娠高血圧腎症の発症率は新鮮胚移植のグループよりも凍結胚移植のグループの方が高かった。

 今回の調査を実施した共同研究グループの責任者である米ペンシルベニア州立大学医学部産婦人科学のリチャード・レグロ教授は、「複数の卵子を獲得するためにホルモン剤などによって卵巣を刺激すると、子宮の状態が悪くなってしまう場合があるが、凍結胚移植には卵巣刺激によるダメージが回復してから移植できるというメリットがある」と説明。「PCOSの女性は、新鮮胚ではなく凍結胚を選んだ方が妊娠の成功率が高まり、OHSSのリスクは抑えられる可能性がある」としている。

(あなたの健康百科編集部)

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