2016年08月29日 06:00 公開

傷、切断―子供の"もしも"に慌てない(2)

救急医が都内保育所で救急処置講座

 子供の周りは危険がいっぱい。おもちゃをのみ込んで窒息、ドアに挟んで指切断、テーブルの角に頭をぶつけて大出血、嘔吐(おうと)や下痢が止まらない、熱中症でぐったり...そんなわが子の"もしも"に慌てないための救急処置講座が、救命救急医の海老原直樹先生を講師に、東京都内の保育所で開催された。その2は外傷(ケガ)について。

傷口の洗浄と圧迫止血が重要

 ころんで脚を擦ったり頭をぶつけたり、子供はバランスや注意力が未発達なため、大人と比べてケガが多い。また、ハサミで手を切る、自転車の車輪に脚を巻き込む、ドアに手を挟むなどの大ケガを負ってしまうことも。

 土や砂利がついた擦り傷に対して、「感染を防ぐため傷口を清潔に保つことが重要」と海老原先生。水で土や砂利を流しつつ、せっけんなどで洗うのが理想的という。ただ、ぱっくり割れた傷(開放創)は筋肉や神経、血管が損傷していることがあるので、よほど汚れている場合を除いてそのまま病院に行くべきとした。なお、血が流れているならば、病院に着くまで清潔なガーゼやタオルなどで出血しているところを強く押さえること(圧迫止血)を勧めた。

 家や自動車のドアに手を挟んだ場合、出血があれば圧迫止血をし、指や爪が切断されてしまったらすぐに病院へ。また、変形している場合は、動かさないように病院を受診した方がよいようだ。

"いつもと違う"は危険なサイン

 頭をぶつけた場合は、自分の名前が言えない、ぼうっとしている、寝たまま起きない、嘔吐を繰り返す、痙攣(けいれん)などが見られた場合は危険なサインのため、病院の受診を推奨。病院では、何をしているときに頭を打ったか、頭を打ち付けた地面の材質、遊具の高さなどのほか、症状や経過を詳しく伝えると迅速な治療につながるという。

 頭をぶつけて病院に行くと、レントゲンやCTを受けることがある。子供の放射線被ばくを不安視する親は少なくないだろうが、海老原先生は「検査や治療に当たり、レントゲンやCTが必要になることもあります。被ばくに敏感になり過ぎず、診察医と相談し、納得して適切な医療を受けてください」と助言した。

 さらに、病院から帰って、家で意識がおかしくなったり、名前が言えなくなったり、やっぱりいつもと違う感じがする場合は、すぐに再受診も検討すべきとした。

○参加した保護者との質疑応答

Q 傷口はふさいだ方がいい? よく、ばんそうこうは良くないというけど...。
A 擦り傷の場合、ドラッグストアなどで売っている創傷被覆材を使うとキレイに治るとされています。そのままにしていても治りますが、時間がかかるのと、日焼けをすると痕や色素沈着をしてしまう恐れがあります。

Q ハサミや爪切りで指先を切った場合も洗う?
A 汚染があれば、さっと洗ってすぐに圧迫止血。洗うと血が出やすくなるので、すぐに押さえてください。

Q 頭を打った後、どのくらいの時間を注意して観察すればいい?
A 1日何もなく元気に遊べていれば大丈夫でしょう。

Q 頭を打ったら元気でもお風呂に入れない方がいい?
A 元気だったら入れてあげてもいいと思います。

Q 痙攣しているときの対処法は?
A 床に寝かせ、救急車を呼んでください。以前は舌をかまないようハンカチなどを入れるよう勧められていましたが、窒息するので絶対にやらないでください。

Q その他、気を付けるべきことは?
A 子供の転落事故や交通事故は、安全対策で防げたというケースが少なくありません。また、子供の死亡原因で最も多いのは交通事故です。家族で事故対策を話し合ってみてください。

(文・写真/小島領平)

 

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