2016年09月06日 06:00 公開

サプリメントによるカルシウム補充に待った!?

高齢女性で認知症のリスクが上昇

 骨粗鬆症が増えており、サプリメントで補充する人も多い。脳卒中を起こした高齢女性は、サプリメントでカルシウムを補充すると認知症のリスクが上昇するという。スウエーデンのヨーテボリ大学の研究グループが調査で明らかにした。詳細は、8月17日の医学誌「Neurology」(電子版に掲載されている。

脳卒中の女性では、カルシウムの補充で認知症リスクが6.77倍に

 脳卒中などの脳血管疾患は、脳の血管に詰まりや破れなど何らかのトラブルが生じ、脳細胞がダメージを受けた状態で、脳血管疾患に関連して発症した認知症を「脳血管性認知症」と呼ぶ。脳血管性認知症は、アルツハイマー型認知症に次いで患者数が多い。

 患者数の増加が見られる骨粗鬆症は、単なる骨の老化ではなく、病的な老化であるため、治療や予防が重要だ。予防にはカルシウムの摂取が不可欠であり、厚生労働省は中高年の1日のカルシウム推奨量を650~700 mgと定めている。

 これを食事から摂るのが理想だが、食事だけでまかなうのはなかなか難しい。そこで不足した分を補うため、サプリメントが広く用いられている。しかし、その影響や効果に関しては疑問もあるという。

 そこで研究グループは、サプリメントによるカルシウムの補充が、認知症の発症にどのような影響をもたらすかについて検討するため、調査を実施した。

 今回の研究の対象となったのは、スウエーデン国内のコホート研究に参加した、認知症のない高齢女性(70~92歳)700人。試験開始時と5年後に、心身に関するさまざまな検査を実施した。検査には、記憶力や思考力を見るテストも含まれた。

 検査開始時に447人が、頭部CT検査を行った。また、カルシウムをサプリメントで補充している女性は98人だった。

 解析の結果、カルシウムをサプリメントで補充していた女性は、摂取していなかった女性に比べて、認知症を発症するリスクが2.1倍高かった。認知症のうち、脳血管性認知症に限定して解析したところ、その発症リスクは4.4倍に高まったという。

 さらに、過去に脳卒中を起こしたことのある女性では、サプリメントによるカルシウムの補充群で、認知症の発症リスクが6.77倍高かった。認知症の前段階とも言われる「大脳白質病変」があり、脳の血の巡りが悪くなっている女性の場合、カルシウムの補充群で認知症の発症リスクが2.99倍高かった。

 同研究グループは「サプリメントによるカルシウムの補充により、脳血管疾患のある高齢女性では、認知症の発症リスクが高いことが分かった。さらに大規模な研究を行い、今回の研究結果を検証する必要があるだろう」とコメントしている。

(あなたの健康百科編集部)