2016年09月27日 06:00 公開

糖尿病、闘病期間長いと脳が萎縮―九州大

「海馬」で顕著

 脳には、人が生きていく上で重要な、とても多くの機能が備わっている。その脳の容積が減ってしまうのが脳萎縮。加齢によって誰にでも起こり得る症状だが、今回、糖尿病によって引き起こされる可能性が指摘された。九州大学大学院の研究グループが行っている「久山町研究」によると、糖尿病患者では脳全体が萎縮しており、特に「海馬」という記憶や空間学習能力に関わる部分で顕著で、糖尿病にかかっている期間が長いほどその傾向が強まっていたという。詳細は、米医学誌「Diabetes Care」(2016; 39: 1543-1549)に掲載されている。

海馬でより強い影響が

 久山町研究は、九州の福岡市に隣接した糟屋(かすや)郡久山町の住民を対象に行っている、生活習慣病に関する疫学研究。九州大学と久山町の共同事業として、1961年に始まった。久山町の人口は現在、約8,400人。住民の年齢や職業分布が全国平均とほぼ同じで、平均的な日本人の集団とされ、研究精度の面でも評価が高い。

 今回の研究では、65歳以上の地域住民1,238人を対象に、磁気共鳴画像(MRI)検査を使って脳の容積を測定。萎縮の度合いと糖尿病との関連を調べた。

 その結果、糖尿病患者は糖尿病でない人に比べ、脳全体の萎縮が進んでおり、その中でも特に海馬の萎縮が進んでいることが示された。この傾向は、血糖値(経口糖負荷試験2時間値)が高い人ほど顕著だったという(ただし、空腹時血糖値との関連はみられず)。

 さらに、中年で糖尿病と診断された人は、糖尿病でない人や高齢になって糖尿病と診断された人に比べて海馬の萎縮の程度がより強いことが示唆されるなど、糖尿病にかかっている期間が長い人ほど症状が進んでいることが分かった。

 研究グループは「今回の研究で、長い糖尿病歴や食後の高血糖が脳萎縮のリスクとなり、その影響はとりわけ海馬で強いことが示された」としている。

(あなたの健康百科編集部)

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