2016年10月07日 06:00 公開

身長が縮んだ...原因は骨粗鬆症かも

セルフチェックで自分の骨を守ろう

 骨量(骨密度)が低下し、骨の中がスカスカになる「骨粗鬆症」になると、骨折しやすくなることは良く知られている。50歳以上の女性の3人に1人は骨粗鬆症といわれ、中高年女性には身近な病気だが、痛みなどの症状がないまま進行することが多いため、高血圧や糖尿病といった生活習慣病に比べると骨の健康対策はおろそかになりがちだ。しかし、骨粗鬆症で脚の付け根を骨折すると36%もの人が元通りに歩けなくなってしまうとの報告も。特に「身長が2センチメートル以上、縮んだ」という人は要注意だ。骨粗鬆症の黄色信号だという。骨粗鬆症の啓発活動などを行っている骨粗鬆症財団は「まずはセルフチェックで骨の健康をチェックし、骨粗鬆症が疑われるようであれば医師に相談してほしい」と呼びかけている。

5人中4人が「自覚症状ないまま静かに進行して骨折」

 日本は世界屈指の長寿国だが、長生きするだけでなく、できるだけいつまでも元気に自立した生活を送りたいもの。そのためには脳卒中などの病気だけでなく、骨折を予防することも大切だ。というのも、介護が必要になった人を対象とした調査では、女性の4人に1人が骨折を含む運動器(骨や関節、筋肉、神経などの身体運動にかかわる器官の総称)の障害が原因で自立した生活が送れなくなっていることが分かっているからだ。

 特に骨折しやすいのは、閉経後の中高年女性だ。女性はもともと骨が細い上に、閉経すると骨を作るもとになる女性ホルモンの分泌が減ることが原因と考えられている。特に脚の付け根(大腿骨近位部)を骨折すると、3人に1人は元通りに歩けるところまでは回復しないのが現状だという。その結果、寝たきりの状態になってしまう人も多い。

 さらに、やっかいなのは、高血圧や糖尿病とは異なり骨粗鬆症は自覚症状がないまま静かに進行してしまうことだ。いつのまに骨がスカスカになっていて、背骨を骨折(椎体骨折)しているのに気付かない、ということは珍しくないという。実際、骨粗鬆症による骨折の経験者のうち、骨折する前に骨粗鬆症と診断されたことがある人は5人に1人程度と推定されている。骨折して初めて骨粗鬆症だったことが分かった、という人があまりにも多いということだ。

「姿勢の変化」もチェック!

 骨粗鬆症は、骨密度が若い人(腰椎で20~44歳、大腿骨近位部で20~29歳)の平均値を指標とした基準を満たしていない場合か、既に骨折してしまった場合に診断される。症状がないまま進行してしまうことが多い骨粗鬆症だが、どうすれば自分の骨の状態が分かるのだろうか。骨粗鬆症の啓発活動などを行っている骨粗鬆症財団が勧めるのは「姿勢」と「身長」の変化をチェックする2つの方法だ(写真)。壁にかかと、お尻、背中をつけて、まっすぐ立ち、その状態で後頭部をつけようとしてもつけられない人は背骨(胸椎)を骨折している可能性がある。また、2センチメートル以上の身長の低下も骨粗鬆症の黄色信号だという。ある研究では、25歳の時に比べて身長が4センチメートル以上低くなった人は、背骨(椎体)骨折のリスクが2倍以上高くなることも示されているそうだ。同財団では、もしこれらに当てはまるようであれば、医師に相談するなど早めに対処することが望ましいとしている。

 もちろん、正確に骨粗鬆症かどうかを調べてもらうためには、医療機関で「DXA法(二重エネルギーX線吸収度測定法)」「MD法」「QCT(定量的CT)法」などの検査機器によって骨密度を測定してもらう必要がある。こうした検査機器はどの病院にもあるわけではないため、骨のことで気になることがあればかかりつけの医師に相談すれば、検査が可能な病院や検査施設を紹介してもらえる。また、多くの自治体で40、45、50、55、60、65、70歳の女性を対象とした骨粗鬆症検診も実施されている。

 骨粗鬆症財団の評議員で虎の門病院内分泌センターの竹内靖博氏によると、骨粗鬆症の診断基準は満たしていなくても、その前段階まで骨密度が低下していた67歳以上の女性を追跡したところ、ほぼ2人に1人は5年後に骨粗鬆症になっていたという調査報告があるという。この調査では、骨密度の低下がそれほどみられない同年齢層の女性は10年後も骨粗鬆症になっている人が少なかったことが明らかにされた。この報告を考慮すると、一度骨密度検査を受け、自分が将来骨粗鬆症になりやすいのかどうかを把握しておくのが良さそうだ。もし骨粗鬆症には至っていなくても、骨密度がかなり低下していることが分かれば、より食生活や運動に気を付け、予防への意識を高めることができる。また同氏によると、こうした高リスク女性はできるだけ数年ごとに骨密度検査を受けるのが望ましいという。

 さらに、骨密度は個人差が極めて大きいため、骨粗鬆症になってから治療を開始しても、骨がベストの状態の時の骨密度が分からないと、どこまで骨密度を上げれば良いのか分からないという問題が出てくるという。したがって若い時に骨密度を測っておき、自分のピーク時の骨密度を把握しておくと良いかもしれない。

「喫煙」「飲酒」も骨折リスク高める

 なお、竹内氏によると、骨密度がどの程度あるかにかかわらず、以下のような素因(危険因子)があると骨折しやすくなるという。

  1. 高齢
  2. 軽いケガで骨折したことがある
  3. やせている
  4. 転びやすい
  5. 喫煙の習慣あり
  6. 飲酒の習慣あり(1日にビール500ミリリットル以上)
  7. 家族歴あり(親が脚の付け根を骨折したことがある)
  8. ステロイド薬(飲み薬)を服用している
  9. 関節リウマチがある
  10. 1型糖尿病、重症の肝臓病などがある(続発性骨粗鬆症)

 ところで、来る10月20日は世界骨粗鬆症デー。国内外で骨粗鬆症や骨折の予防に向けた啓発キャンペーンが各国で展開される。キャンペーンを主導する国際骨粗鬆症財団(IOF)は、「自分の骨を大切にし、将来の自分を守ろう(Love your bones、protect your future)」というキャッチフレーズで、市民に向けたメッセージを発信。適度な運動と十分な栄養を心がけ、そして骨密度の測定などの検診を受けるよう呼びかけている(写真は骨粗鬆症財団とIOFの啓発ポスター)。これを機に、改めて自分の骨の健康について考えてみたい。

(あなたの健康百科編集部)

関連トピックス

関連リンク(外部サイト)