2016年11月14日 06:00 公開

なぜ女性に多い? 不整脈からの脳梗塞

群大チームが、メカニズムの1つを解明

 高齢社会の中、「心房細動」という不整脈が増えている。心房細動は、心房が小刻みに動き、けいれんするような状態を指す。即座に命に関わることはないが、この状態が続くと、心房の中に血栓という血のかたまりができやすくなり、それが脳の血管を詰まらせ脳梗塞を起こす危険をはらむ。この心房細動による脳梗塞のリスクは、男性よりも女性の方が高いことが、以前から知られている。今回、群馬大学の倉林正彦教授らは、オーストラリア・タスマニア大学との共同研究により、心房細動による脳梗塞のリスクが男性よりも女性で高くなるメカニズムの1つを明らかにした。研究の詳細は、9月12日発行の医学誌「Circulation: Cardiovascular Imaging」(電子版)で公開されている。

女性で、より顕著な心臓の機能低下

 今回、共同研究グループは、心房細動を起こした男女414人(男性258人、女性156人)を対象に、心臓超音波検査のデータを詳細に解析し、左心房の機能を検討した。脳梗塞のリスクは、対象患者の過去の病歴などを元に算出した。そして、左心房の機能と脳梗塞リスクとを男女別に比較した。

 その結果、女性は男性に比べて年齢が高く、左心房の拡大が見られた。そして、下に示すように、女性は男性に比べ、脳梗塞のリスクが上がれば上がるほど、左心房の機能が低下することが分かったという。

 左心房の機能が低下すれば、そこに脳梗塞の原因となる血栓ができやすくなる。「これが、今まで知られていなかった、心房細動による脳梗塞のリスクが女性で高くなるメカニズムの1つだと考えられます」と研究グループは結論付けている。

 心房細動の治療の最大の目的は、脳梗塞を予防することだ。現状の診療ガイドラインでは、「脳梗塞のリスク評価」と「脳梗塞予防治療」が推奨されている。治療では、脳梗塞を防ぐため「抗凝固薬」という血液をサラサラにする薬を使う。抗凝固薬は出血のリスクも上げるため、より正確なリスク評価が求められる。

 研究グループは、今回の研究結果を踏まえて「今後は、問診による脳梗塞のリスク評価に加え、心臓超音波検査で左心房機能を評価することで、一人一人に合ったきめ細やかなリスクの評価と、それを元にした最適な治療法の選択が求められてくるだろう」とコメントしている。

(あなたの健康百科編集部)