2016年11月30日 06:00 公開

魚を食べると頭がよくなる、その訳とは

 「魚を食べると、頭がよくなる」と聞けば、わが子に魚料理を食べさせたくなる母親もいるだろう。そういえば、一時期、その手の歌が流行ったこともあった。魚の脂肪に多く含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)は、健康によい栄養素として知られている。この度、DHAと脳に関する研究結果が、米国の南カリフォルニア大学の研究グループから報告された。血液中に含まれる脂肪に占めるDHAの割合(血清DHA値)が高いと、脳内に沈着している「アミロイド」と呼ばれる線維状の異常蛋白質が少ないこと、そして、脳の中でもアルツハイマー病の影響を受けやすいとされるエリアの大きさが保たれることが分かったという。研究の詳細は、10月1日発行の医学誌「JAMA Neurology」(2016;73:1208-1216)に掲載されている。

成人のDHAの1日の摂取目安は2g前後

 DHAは、魚の油に多く含まれている健康によい成分だ。血中の中性脂肪を減らし、ドロドロの状態になった血液を改善して、動脈硬化などのリスクを下げる働きがある。

 DHAが豊富に含まれていると言われる魚だが、種類によってDHAの含有量には大きな差がある。DHAを多く含むのは、イワシやアジ、サバなどの青魚だ。他に、サンマやブリ、ハマチなどもある。青魚以外では、ウナギ、サケ、マグロ、筋子、数の子などにも多くのDHAが含まれている。

 厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015 年版)」では、さまざまな栄養素の1日の摂取量が示されている。それによると、DHAを含むオメガ3系という脂肪の摂取量の目安は、成人男性は1日2.0~2.4g、成人女性は1日1.6~2.0gとなっている。健康のために、食事に積極的に魚を取り入れたいところだ。

血清DHA値と、脳内アミロイドの沈着量に負の関係

 これまでの研究では、DHAをたくさん摂るほど、認知機能にいい影響を及ぼすと報告されている。また、動物実験や試験管内での実験でも、DHAが脳内のアミロイドの沈着を防ぐことが報告されている。

 今回、研究グループは、関連する研究に参加した67~88歳の男女61人(平均年齢77歳、男性20人・女性41人)を対象に、血清DHA値と脳内アミロイド沈着、脳の体積との関係について検討した。

 年齢や性などが偏らないよう補正して解析した結果、アミロイドが臓器に沈着し、機能障害を起こしてしまう「アミロイドーシス」が脳内に見られた群は、アミロイドーシスが見られなかった群と比べて、血清DHA値が23%低かった。そして、血清DHA値が上昇すると、脳内アミロイドの沈着量が低下するといったように、血清DHA値と脳内アミロイドの沈着量には負の関係が見られた。

 また、血清DHAの値が高いと、アルツハイマー病で影響を受ける脳のエリアのうち、特に脳の中央部にあり記憶や学習を司っている「海馬」と、海馬の入り口に位置し、においの伝達に関わっている「嗅内野(きゅうないや)」という部分の体積が保たれていることが分かったという。

 研究グループは「今回の結果から、アルツハイマー病を発症する前の段階から見られる脳内アミロイド沈着において、DHAが重要なカギを握っていることが示された」とコメントしている。

 やっぱり魚と脳には、何らかの関係がありそうか。となれば、今夜のおかずは、焼き魚にか、それとも煮魚か...。

(あなたの健康百科編集部)

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