2016年12月01日 06:00 公開

アジア医療の課題は支出面と高齢化への対応

OECDが報告書で提言

 経済協力開発機構(OECD)は、世界保健機関(WHO)との共著で、「図表で見る医療:アジア太平洋地域 2016年版 -国民皆医療に向けた進歩を測る」を発表。アジア太平洋諸国は医療制度を強化し、国民皆医療のための医療支出を大幅に増やして、急速な高齢化によって変化していく医療ニーズに対応する必要があることを示した。

27の国と地域の医療と健康に関する指標を収載

 報告書には、アジア太平洋地域27の国と地域の人々の健康状態、健康を決定する要因、医療資源とその利用状況、医療支出と財源、医療の質に関する主要な指標が収載されている。各国の医療体制の向上を支援し、国民の健康状態を改善させるために、関係当局がよりよい医療政策を立案・実施する際の一助になるという。

 今回発表された報告書によると、アジア諸国で65歳以上の高齢者が人口に占める割合は、今後数十年で2.5倍近く増加し、2050年には20.5%に達すると予測されている。アジア22カ国の平均寿命を見ると、2015年は73.7歳で、2000年より約4.6年長くなった。同じ期間でのOECD諸国全体の平均寿命の伸びは3.4年だった。 

 しかし、依然として大きな地域格差が残っているという。平均寿命が最も長いのは香港で84歳。日本、オーストラリア、シンガポール、ニュージーランド、韓国、マカオも平均寿命が80歳を超えている。それに対して、アジア太平洋地域の12カ国は、平均寿命が70歳未満で、パプア・ニューギニアとラオスでは、2015年に生まれた子どもの平均寿命は65歳以下と予測されている。

 また、報告書には、交通事故による死亡者数は世界全体で年間125万人に上ると推計されているが、その内60%はアジアで発生していると記載されている。そして、交通事故による傷害の負担は、道路利用の弱者である歩行者、自転車利用者、オートバイ利用者に偏っているという。OECDが発表したその他の記載は、以下の通り。 

  • 乳児死亡率はアジア地域全体で2000年以降大幅に低下し、多くの国で50%以上低下した。2015年の乳幼児死亡率は1,000人当たり平均21.5人だったが、それでもOECD諸国の死亡率の5倍。
  • 2000~2015年の間にアジア諸国の平均産婦死亡率は半分以下になった。しかし、OECD諸国の産婦死亡率平均が10万人当たり約7人であるのに対し、アジア諸国ではその約13倍に上る。
  • 医師と看護師が不足しており、人口1,000人当たりそれぞれ1.3人、3.2人。これはOECD平均である3.3人と9.1人を大幅に下回っており、特に高齢化に対応するには少な過ぎる。
  • アジア諸国の1人当たりの病院病床数は、人口1,000人当たり3.3床で、OECD諸国平均の4.7床を下回った。高齢者のための医療サービスは、地域に密着した医療である一次医療を中心とし、病院中心の制度を見直す必要がある。
  • 1人当たりの年間医療支出は、OECD諸国平均が3,618米ドルであるのに対して、アジア諸国では930ドル(約10万円)程度。2014年の「対GDP比(国内総生産に対する医療支出)」で見ると、アジア諸国の平均は4.7%、OECD諸国は9.3%となる。
  • 2014年の総医療支出に占める公的医療支出の割合は、OECD諸国が72.7%であるのに対し、アジア諸国は50.5%とはるかに低い。薬剤の支出は、アジア諸国の平均が総医療支出のほぼ3分の1を占めている。 

(あなたの健康百科編集部)

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  • OECDウェブサイト