2016年12月06日 06:00 公開

iPadゲームで小児斜視が改善

アイパッチ療法より改善効果が高いとの報告

 米国立眼研究所(NEI)によると、小児弱視の1つとされる「斜視」は子ども100人のうち2〜3人に見られる症状で、治療しないと大人になっても続く可能性がある。そんな斜視の治療を子どもが楽しみながら受けられるようになるかもしれない。小児の斜視治療において、iPadゲームを行う治療が現在の標準治療であるアイパッチ療法よりも改善効果が高いと米国・Retina Foundation of the Southwestの研究グループがJAMA Ophthalmology(2016年11月10日オンライン版)に報告した。

楽しい治療で視力の回復

 現在、小児「斜視」の主流とされるアイパッチ療法は、視力に左右差のある場合、良い方の目にアイパッチ(眼帯のようなもの)を一定時間することで悪い方の目(弱視眼)の視力発達は促すとされている。しかし、このアイパッチ療法は両眼に働きかける治療ではないので、正常視力まで回復するとは限らない。一方だけの弱視は、屈折異常(遠視・乱視・近視など)の左右差が大きいときや斜視などで起こる。

そこで研究グループは、iPadを用いて行うアドベンチャーゲーム「Dig Rush」の弱視治療効果を評価するとともに、このiPadゲーム治療とアイパッチ療法の治療効果を比較する試験を行った。

 このゲームは、カナダマギル大学のRobert Hess博士らが持つ特許をベースにしたパズル作品。赤青メガネを装着してプレイし、ゲームをクリアするために両方の目を同時に機能させることで、それぞれに異なる目の順応力と両目を同時に用いる力を高め、楽しみながら治療で視力の回復支援が得られる。

1日1時間、週5日を2週間継続

 研究対象とされた28人を、iPadゲーム治療群(14人)とアイパッチ治療群(14人)に振り分け調査を行った。評価項目は2週間後の弱視眼の最高矯正視力(BCVA)の変化と立体視および抑制の変化と4週間後のBCVA変化とした。

 iPadゲーム群は、家庭で1日1時間×週5日間ゲームを行い、これを2週間継続した。アイパッチ群は、毎日2時間、健眼にアイパッチを付ける治療を2週間継続した。

最高矯正視力を有意に改善

 対象全体の平均年齢は6.7歳(4.6~9.5歳)、女児は25%。iPadゲーム群とアイパッチ群で2週間後の弱視眼の平均BCVAは、iPadゲーム群では治療前に比べてアイパッチ群より大きく改善し、iPadゲーム群はアイパッチ群に比べてBCVA改善効果が有意に高いことが示された。また、両群とも抑制暗点の大きさに変化は見られなかったが、抑制の深さはiPadゲーム群の方がアイパッチ群よりも改善した。

 さらに2週間の治療終了後、アイパッチ群14人に対し2週間iPadゲーム治療を行ったところ、BCVAはiPadゲーム群における4週間治療後の平均BCVAに近くなり、BCVA改善における両群の有意差はなくなった。

 以上の結果から、研究グループは「小児の弱視に対する2週間のiPadゲーム治療はアイパッチ療法より有効であった」と述べ、「iPadゲームはコントラストのバランス回復により抑制を克服することから、弱視治療における有力な治療選択肢となる」と結論付けた。

(あなたの健康百科編集部)