2016年12月08日 06:00 公開

がんと闘う女性に自然の美しい髪の毛を!

看護学生の髪の毛で作った特別なウィッグをがん患者に贈呈

 "髪は女の命"と言われているように、女性らしさを醸し出す上で髪の毛はなくてはならない存在。しかし、がんと闘病する女性は抗がん剤の副作用で脱毛を余儀なくされるケースも多い。そんな辛い悩みを抱えるがん治療中の女性のために、看護学生が寄付した髪の毛で作った特別な医療用ウィッグを贈る「キレイの力」プロジェクトが続いている。今年も昭和大学医学部付属病院(東京都品川区)で贈呈式が行われた。 

乳がんとの闘いで髪の毛を失った女性へのプレゼント

 がんと闘う辛さに加えて、大事な髪の毛を失うショックは計り知れないもの。「キレイの力」プロジェクトは、がん治療中の女性に医療用ウィッグを贈ることで治療に向かう気持ちを支えたいと2008年にスタートした。がん患者さんの「治療と生活」をつなぐNPO 法人のキャンサーリボンズが中心となって、P&Gパンテーン、スヴェンソンが協力している。

 このプロジェクトは「ウィッグサポーター」と呼ばれる女性の看護学生が約半年間、パンテーンの製品でヘアケアしながら大切に伸ばした髪を寄付し、その髪をヘアケアメーカーのスヴェンソンが特別な加工をして医療用ウィッグを制作し、がん治療中の女性に贈るというもの。第1回の2008年から2015年まで345人の女性がん患者に贈られてきた。

 9年目を迎えた今年は11人の患者にウィッグが贈られることになっている(12月2日現在)。今年度2回目の贈呈式となるこの日、昭和大学医学部附属看護専門学校に通う学生たちが寄付した髪の毛で作られたウィッグを贈られたのは東京都在住の田嶋郁(かおる)さん(52歳)。

 田嶋さんは2013年10月に乳がんを宣告され、手術を受けた。しかし、2015年3月に再発し、現在も治療を続けている。その過程で抗がん剤の副作用によって髪の毛のほとんどを失った。贈呈式を前に、控室で自分の希望するスタイルにセットされた医療用ウィッグを装着した田嶋さんの顔は一瞬で明るくなった。普通のウィッグは重く、蒸れてしまい長く装着していると頭痛がしてくるそうだが、このウィッグは軽くて全然違うと喜んだ。

看護学生の「気持ち」がこもった特別なウィッグ

 贈呈式には髪の毛を寄付した看護学生69人の内、9人が出席して自分が書いたメッセージを田嶋さんの前で読み上げた。「このウィッグを使うことで前向きな気持ちになってもらえれば素敵だと思う」「今回の貴重な経験を今後の生活や看護人生に生かしていきたい」「成人式の前に髪を切りましたが後悔していません。自分らしく堂々と歩いてほしいです」......と話すなど、学生にとっても授業では学ぶことができない大事な何かを学んだようだ。

 学生からのメッセージを聞き終えた田嶋さんは、「鏡を見るたび、変わっていく自分の姿を見て落ち込んでいました。このプロジェクトは看護学生さんが大切に伸ばした髪を使用することを知って涙が出ました。心優しい学生さんのお陰で私のように脱毛して落ち込んでいる人たちに勇気と希望をくれました。このウィッグを大切に使い、娘の学校の行事にも積極的に参加したいと思います」と、この間の心境を涙ながらに話した。 

 無事に贈呈式を終えた田嶋さんに話を聞いた。ウィッグを付けて一番したいことは「娘との外出」だそう。乳がんと闘う母親に心配をかけまいと普通に接する高校1年生の娘さんに申し訳なく思っていたという田嶋さん。「友達とランチにも行きたいですけど、何より娘との外出が楽しみです。まずは一緒に映画に行きたい!」と明るい笑顔で語ってくれた。

 また、この「キレイの力」プレジェクトでは、1人でも多くの女性に医療用ウィッグを届けるための寄付を受け付けている。一口3,000円の寄付で、30名が集まると、そこに企業からの寄付金をプラスしてウィッグを1つ贈ることができるという。興味のある方はキャンサーリボンズの公式サイトまで。

(萩原忠久)