2016年12月14日 06:00 公開

そのED治療薬、本物ですか?

偽造ED治療薬4社合同調査

 最近、勃起力が弱くなった、満足な性行為が行えない―そんな悩みを抱える男性は少なくないだろう。周囲に知られないよう、こっそり何とかしたい、できれば安く薬を手に入れたいと思えば、インターネットで勃起障害(ED)治療薬の購入に手を出したくなる気持ちも分からなくはない。でも、ちょっと待って。そこに落とし穴があることも。ED治療薬を製造、販売する製薬企業4社は、インターネット上で販売されているED治療薬のうち3剤の真偽を鑑定するため合同で調査を実施したところ、計70サンプルのうち40%が偽物と判明した、と11月24日に開催された4社合同のプレスセミナーで報告した。

国内サンプルの36%が偽物

 EDは加齢により起こるだけでなく、精神的ストレスによっても起こるため、中高年ばかりでなく、若い人でも起こりうる。そして男性本人だけでなく、パートナーである女性にとっても悩みとなる。

 今回の合同調査は、薬の適正使用と患者の健康被害防止という観点から、インターネットで購入したED治療薬について、偽物の割合と有効成分を調査するために行われた。調査は2009年に続き、今回が2回目となる。

 調査は日本とタイの調査会社に依頼した。理由は、日本人が、タイ国内で本物そっくりにつくられた偽造ED治療薬の販売に関与していたという一件や、タイから日本に偽造品を輸入したとして摘発された一件などがあったからだ。

 調査期間は2016年3~8月で、ED治療薬を販売しているインターネットサイトを通じて、1つのサイトからシルデナフィル(バイアグラ)、バルデナフィル(レビトラ)、タダラフィル(シアリス)を1サンプルずつ購入し、化学分析を実施し本物かどうかを鑑定した。

 購入できたサンプルは、日本での発注分が45サンプル、タイでの発注分が25サンプルの計70サンプルだった。

 分析の結果、70サンプルのうち40.0%が偽造品だった。発注した国別で分けると、日本国内発注分では、45サンプルのうち35.6%が、タイ発注分では25サンプルのうち48.0%が偽造品だった。発送元は中国が最も多く、次いでシンガポール、タイの順だった。

 結果を報告した昭和大学藤が丘病院泌尿器科の佐々木春明教授は「海外正規品の最大用量と比較して約150%の有効成分を含んでいるものや、有効成分がほとんど含まれていないものも確認されました。また、どの国にも存在しない用量のものが販売されているケースもありました」と指摘。

 承認されている用量以上の有効成分が含まれている場合、低血圧や意識消失など予期せぬ副作用が起きる可能性があるという。一方、含有量が微量でほとんど含まれていないものは、期待する効果が得られず、服用者が精神的なダメージを受けることも懸念される。佐々木教授は、「正規品に含まれていない物質によって起こった症状に対しては、治療が遅れることも考えられます。インターネットで安く簡単に手に入れることができればいいという認識は改めてください」と呼びかけた。

ネットで安く買えるわけではない

 「インターネットによる個人輸入の方が安いというのは嘘」と指摘するのは、金沢大学医薬保健学域国際保健薬学の木村和子教授。タダラフィル1錠(20mg)当たりの平均価格を比較したところ、国内5医療機関の平均価格2,134円に対し、本物が送料・手数料込みで2,014円(1,222~3,863円)、偽物が同1,397円(975~1,775円)だったというデータを紹介した。「アジアでは国を代表する大企業が偽造医薬品を製造している現状があり、日本に入ってこないとは言えません。インターネットで医薬品を購入する危険性を認識してほしいです」と注意を喚起した。

 偽物の薬をつかまされないためにも、だれにも知られたくないといった羞恥心や、安く買えるからといった安易な考えは、この際、捨てたほうが賢明なようだ。

(あなたの健康百科編集部)

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