2016年12月15日 06:00 公開

離乳早期の卵摂取で卵アレルギー予防を確認

国立成育医療研究センターの研究より

 食物アレルギーを発症すると、本人はもとより親が慌ててしまう。食物アレルギーの中でも代表的なのが卵アレルギー。世間には卵をつかった食品や料理がたくさん出回っているし、完全に除去するには多くの注意が必要だ。このたび、国立成育医療研究センターアレルギー科の大矢幸弘氏らの研究グループが生後6カ月から固ゆで卵を少量ずつ摂取させることにより、8割の卵アレルギーを予防できると医学誌オンライン版( 08 December 2016)に発表した。

ピーナツを早くから摂取する国ではアレルギーが少ないという事実

 これまでの研究では、卵やピーナツなど食物アレルギーの原因となりやすい食品は離乳期早期からの摂取を避けることが望ましいと考えられていた。しかし、乳児期からピーナツを食べさせる習慣のあるイスラエルでは、離乳期にピーナツを食べさせない英国や米国に比べピーナツアレルギーが少ないという疫学調査から「離乳早期にアレルギーをおこしやすい食品を食べさせると食物アレルギーを予防できるかもしれない」という仮説がうまれた。そのため、国立成育センターを始めとしたいくつかの施設でピーナツや卵などの食物を離乳早期に与える研究が開始された。

試験実施中は徹底したアトピー性皮膚炎治療を行う

 同研究グループは、国立成育医療センターと立川相互病院で登録された266人の中から親の同意があり、生後4カ月までにアトピー性皮膚炎を発症した乳児121人を対象として、卵を摂取する群(卵群)と対照群に分け、生後6カ月から試験を実施した。

 卵群は加熱全卵粉末50mg(ゆで全卵0.2g相当)を生後6カ月から9カ月まで摂取し、生後9カ月から1歳まで同粉末250mg(ゆで全卵1.1g相当)を摂取した。対象群は同じ量のカボチャ粉末を同じ期間摂取した。本人、家族はもちろんのこと担当医師も本人がどちらのグループに割り当てられているか分からないようにした。

 試験期間中、二重曝露仮説といって同じアレルゲンであっても口から摂取すると耐性をつくるのに対し、皮膚炎など傷ついた組織から侵入すると炎症を促進し、アレルギー疾患の発症と増悪を起こすことが知られている。このため実施している期間中は影響が及ばないように、両群とも徹底したアトピー性皮膚炎の治療が行われた。

卵アレルギーの発症が約80%減少

 1歳の試験終了時に加熱全卵粉末7g(ゆで全卵32g相当)を与え、卵アレルギーの発症率をみた。生後6カ月から卵を摂取した卵群では60人中5人に、対照群では61人中23人に卵アレルギーが見られた。解析の結果、卵群では約80%卵アレルギーの発症が減少し、顕著にリスクが低下していた。条件を調整したさらなる詳しい解析では、卵群では約90%のリスク低下が見られたという。

 また、今回の研究は、生卵乾燥粉末を使用しアナフィラキシーなどを起こした先行研究と比較し、少量の固ゆで卵粉末とカボチャ粉末で開始したため、副作用がなく安全な試験を実施できたことも大きな特徴。

 なお、研究結果は、発症予防効果を検討したもので、すでに卵アレルギーと診断されている乳児の治療などを目的としたものではないこと、さらに実際の卵の摂取などについては必ずアレルギー専門医の指導を受けてほしいと研究グループは注意を喚起している。

(あなたの健康百科編集部)