2016年12月16日 06:00 公開

特定の高血圧、スクリーニング時のNGとは

 血圧が高めで、医師から「塩分は控えめにしましょう」「減塩してください」と言われている人も多いだろう。高血圧のほとんどは原因不明だが、中には検査をすれば原因の分かる高血圧もある。「原発性アルドステロン症(PA)」もその1つだ。チリのカトリカ大学を初めとする共同研究グループは、未治療の高血圧患者を対象とした試験で、PA患者を選別するためのスクリーニングでは、塩分控え目な食事をすると本当はPA陽性なのに陰性と判定されてしまう「偽陰性」になりやすいことを明らかにした。研究の詳細は、医学誌「The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism」(2016;101:3989-3996)に掲載されている。

PA判定されたうち、52%がスクリーニングで陰性

 PAは、副腎から「アルドステロン」というホルモンが多量に放出されてしまう病気で、それに関連して血圧が上昇する。高血圧の原因が特定できれば、適切な治療が可能となる。そのため、高血圧患者の中からPAを拾い上げることは重要で、そのためのスクリーニングとして、「アルドステロン/レニン比(ARR)」が推奨されている。レニンは酵素の一種で、血液中のタンパク質に働きかけ、血圧を上昇させる働きをする。

 今回、研究グループは、高血圧患者にPAを選別するスクリーニングを行う際、高血圧患者に推奨されている減塩が、スクリーニングの結果にどのような影響を与えるかについて検討した。

 対象は、ARR>20で、高血圧だが未治療の患者241人。塩分の多い食事と塩分の少ない食事を摂り、それぞれPAのスクリーニング検査を行った。

 その結果、塩分量の多い食事を摂ったときにPAスクリーニングが陽性になる確率は、33%(79/241人)だった。陽性だった79人に塩分量の低い食事を摂ってもらいPAスクリーニング検査を行ったところ、そのうちの56%(44/79人)がPA陰性となった。

 24時間の間に、尿中に排出されるアルドステロンとナトリウムの量を測定しPAの判定を行ったところ、実際にPAと判定されたのは、塩分量の多い食事をした時のスクリーニングで陽性と出た79人のうち48人だった。そして、なんとそのうちの52%(25/48人)は、塩分量の少ない食事後のスクリーニングではPA陰性だったのだ。

 その理由として、高血圧患者が塩分量の少ない食事を摂ることで、血中のレニンの活性度が高まり、結果的にARRが正常範囲内となってしまったのだという。

 今回の結果について、同研究グループは、「高血圧患者には減塩が勧められるが、減塩食はレニンやARRに影響を及ぼしやすい。レニンの活性度が上がるとARRは正常と出てしまい、スクリーニングでは正しい結果が出てこない」とした上で、「PAのスクリーニングは、塩分量の多い食事を摂った状態で行うのが望ましい」とコメントしている。

 「高血圧患者には減塩を」―これ自体は間違いないだろうが、PAスクリーニングをする医療者側はもちろん、スクリーニングを受ける側も、今回の研究結果を心得ておいて損はない。

(あなたの健康百科編集部)

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