2016年12月22日 06:00 公開

医学生の3割がうつ病―47カ国研究から

12万2356人のデータを検討

 病気で苦しむ人を助けたい―そんな気持ちから医師を志す人が多いだろう。しかし、病気を治す医師になるために一生懸命勉強に励む医学生の中に、逆に自分が病気に苦しめられてしまう人がいるという。47カ国で実施された研究を解析したところ、医学生のうつ病・抑うつ症状を抱えている割合は27.2%、自殺念慮(死にたい気持ち)は11.1%に上る一方、精神科での治療を求めた医学生は15.7%にすぎないことが判明したと、米ハーバード大学医学部の研究グループが米医学誌「JAMA」(2016; 316: 2214-2236)に発表した。

医療の質にも影響

 研究グループは、(1)医学生のうつ病、抑うつ症状、自殺念慮の研究、(2)2016年9月17日以前に発表、(3)妥当性が確認された評価方法を使用、(4)論文の言語は問わない―の条件で47カ国の195件の研究を特定し、12万2,356人からうつ病・抑うつ症状のデータ、2万1,002人から自殺念慮のデータを抽出して解析した。

 うつ病と抑うつ症状の人の割合を算出したところ、有病率は27.2%だったが、研究によりかなりのばらつきが見られた。

 さらに、医学部に入学する前と在学中の抑うつ症状について評価した9件の研究を解析したところ、入学後に抑うつ症状が13.5%増加していた。しかし、治療に関するデータが報告されていた7件の研究の解析では、うつ病の検査で陽性と出て、精神科での治療を求めた医学生の割合は15.7%にすぎなかった。自殺念慮に関しては、24件の研究から算出した有病率は11.1%で、研究間でのばらつきが大きかったという。

 研究グループのRotenstein氏らは「これらのデータは、医療機関の医療の質にも悪影響を及ぼす可能性があることを示めす」とコメント。さらに、「うつや自殺念慮の原因としては、学内での競争によるストレスや不安などが考えられ、教育カリキュラムや学生の評価方法を見直すことで改善できるかもしれない。今後の研究では、学生時代のうつ病から研修医になった後のうつ病をどの程度予測できるか、また学生時代の対応の効果が、研修医になってからも持続するかについても検討すべき」としている。

(あなたの健康百科編集部)