2016年12月28日 06:00 公開

お餅だけじゃない、高齢者の窒息事故

万一のときは、ためらわず救急車を

 毎年、お正月に餅を喉に詰まらせたというニュースを見聞きするが、餅だけに限った話ではない。食べ物が喉に詰まったときはどうすればいいのか。窒息事故を防ぐポイントを、日本医科大学付属病院高度救命救急センターの横田裕行教授に聞いた。

詰まる物はさまざま

 同病院には2013年から2年弱の間に、60人が食べ物を喉に詰まらせて救急搬送された。その大半が、65歳以上の高齢者だった。

 高齢になると、嚥下(えんげ)機能といって食べ物をのみ込む力が弱くなる。加えて、異物を吐き出す力も弱まるため、食べ物を詰まらせたときに吐き出せないことがある。詰まる食べ物は餅のほか、鶏肉、こんにゃく、パンにすし、麺や刺し身など実にさまざまだという。

 横田教授は「のみ込む力が弱まっている人は、口に入れる食べ物の硬さや大きさ、量に注意して、のみ込む力を上回らないようにすることが大切です」と話す。さらに「水分と一緒に食べた方がいいなどと言われますが、誤嚥(ごえん)といって食べ物が気管に入ってしまう危険もあるので気を付けてほしい」と注意を促す。本人だけでなく、家族や周囲にいる人が意識して防止に努めることも大切だ。

窒息のサインで周囲に伝達

 もし食べ物を喉に詰まらせてしまったら、まずは「窒息のサイン」で周囲に窒息を知らせること。これは世界共通のサインで、左右の親指と人さし指で喉をつかむようなしぐさだ。

 周囲の人は、どう対処したらいいだろう。患者が強いせきをしているときは、続けるように促すとともに救急車を呼ぶこと。せきができない、あるいは初めはせきをしていたのに、できなくなってきた場合には応急処置を行う。

 「背部叩打(こうだ)」といって、患者の後方から手のひらで肩甲骨の真ん中を強くたたく。これに、「腹部突き上げ」を組み合わせることも有効だ。まず患者の後方に立ち、両腕を患者の腹部に回す。片方の手で握り拳を作り、親指側を患者のへその上、みぞおちより下に当てる。その握り拳をもう一方の手で握り、素早く手前上方に向かって圧迫するように突き上げる。救急車の到着まで、この二つを繰り返すといいという。

 横田教授は「早期対応が命を左右します。ためらわずに救急車を呼んでください」と強調している。

(比企野綾子)