2017年01月11日 06:00 公開

「孤独感」を抱いているとアルツハイマー病に?

認知機能が正常な高齢者79人からのデータ

 子どもが巣立っていったり、家族に先立たれたり、友達が亡くなったり...好むと好まざるにかかわらず、年を取るにしたがって人は孤独にならざるを得ない。年を取ると物理的、精神的な「孤独」との闘いが始まる。そんな中、さらに追い打ちをかけるような研究成果が報告された。「孤独感」を感じている高齢者の方が、アルツハイマー病(AD)発症前の初期に出現する脳アミロイドの蓄積が多く認められると米ブリガム&ウィメンズ病院の研究グループにより米医学誌「JAMA Psychiatry」(2016年11月2日オンライン版)に発表されたのだ。

軽度認知障害よりもさらに前段階の症状か

 脳アミロイドはアルツハイマー病発症前から蓄積が進むためAD発病前の進行状態をはかる「目安」とされているが、その蓄積が「孤独感」と関連することを示した初めての研究だという。研究グループでは「孤独感はAD発症前に見られる神経精神医学的な初期症状の1つの感情・行動変化である可能性がある」との見方を示している。

 そこで今回、認知機能が正常な高齢者において、孤独感と脳アミロイド蓄積との関連について調べた。対象は、65~90歳(平均76.4歳)の高齢者79人。PET検査で脳アミロイドイメージングを実施し、孤独感は「交友関係が狭いと感じる頻度」「疎外されていると感じる頻度」「周囲から孤立していると感じる頻度」の3項目についての自己評価してもらった。これらの他、不安やうつ、社会的な付き合いや社会的活動についてもデータを収集した。

 このうち22人がADリスクに関連するとされるAPOEε4遺伝子の保有者で、25人でアミロイドの蓄積が見られた。年齢、性、APOEε4遺伝子保有の有無、不安やうつ、社会的なネットワーク、社会経済的地位などで調整して解析した結果、アミロイドが蓄積された高齢者では、蓄積されていないの高齢者に比べ孤独感を抱く頻度が「時々」または「頻繁」である確率が7.5倍だった。

 また、年齢のみで調整したところ、確率は3.1倍となった。さらに、アミロイドの蓄積量と孤独感との関連は、APOEε4遺伝子の非保有者に比べ保有者で強かったとしている。

 認知機能が正常な高齢者において、アミロイドの蓄積が孤独感に関連していた。また、この関連はうつや不安、社会的なつながりなどで調整しても認められたと結論づけた。同グループではさらに、「社会的な孤立感は、AD発症前の軽度認知障害(MCI)よりもさらに前の段階で見られる初期症状の1つである可能性がある」との見方を示す一方、「孤独感を抱いている高齢者ではアミロイドの蓄積が進む可能性もある」としている。

(あなたの健康百科編集部)