2017年02月01日 06:00 公開

子宮頸がんワクチン再開「強く求める」

日本産婦人科学会が声明

 日本産科婦人科学会は、接種勧奨が中止されて3年半以上経過した子宮頸がんワクチンについて、「接種勧奨の一刻も早い再開を強く求める」とする声明を、2017年1月17日に同学会の公式サイトで公表した。

接種後の様々な症状を調査

 子宮頸がんワクチンは現在、世界130カ国以上で承認され、60数カ国では公費助成による接種が行われている。日本では、2013年4月に予防接種法に基づき定期接種化されたが、接種後に報告された副反応やその後に起こった症状めぐり、同年6月に接種勧奨が中止となり、今なお再開に至っていない。

 声明によると、これまで子宮頸がんワクチン接種後に発症した症状や病気に関する解析が国内外で実施されたが、日本で問題となっている慢性疼痛や運動障害などのさまざまな症状との因果関係は現時点では認められなかった。また、同ワクチンの安全性に懸念を示すような科学的・疫学的根拠はないという。

 接種後に様々な症状が発症しているが、その症状の出現が、接種の有無により出現したものかどうかを調査する「出現頻度に関する疫学研究」が必要であるとした厚生労働省副反応検討部会の見解を受け、厚労省研究班が全国調査を実施。

 2016年12月に、調査結果を発表した。年齢構成などの多くのバイアスがあるため直接比較は困難だが、人口10万人当たりの症状の出現頻度はワクチン接種歴がない12~18歳の女子で20.4人、接種歴がある女子では27.8人とそれぞれ推計された。この結果から、ワクチンの接種歴の有無にかかわらず、思春期の女性にこのような多様な症状を呈する方が一定数存在することが示されたという。

子宮の喪失や死亡の増加を防ぐために

 国立がん研究センターが昨年12月に発表した、がん死亡率の変化に関する最新データによると、日本ではがん対策推進基本計画施行後、子宮頸がんのみで死亡率の増加が加速していたという(過去10年間で9.6%増)。

 一方、子宮頸がんワクチン接種を国のプログラムとして早期に導入した英国、豪州などではワクチン接種で予防したヒトパピローマウイルス(HPV)感染率が顕著に減少し、子宮頸部前がん病変が明らかに低下している。子宮頸がんは多くの場合、このヒトパピローマウイルスの感染が関連している。

 WHO(世界保健機関)は、子宮頸がんおよびヒトパピローマ関連疾患予防に対する子宮頸がんワクチンの安全性と有効性を繰り返し確認し、接種を強く推奨。2015年12月のWHO声明では、子宮頸がんワクチンが接種されないことにつながる日本の政策決定は、真に有害な結果となると警告した。 

 今回の声明で、日本産科婦人科学会は「将来、先進国の中でわが国においてのみ多くの女性が子宮頸がんで子宮を失ったり、命を落としたりするという不利益が、これ以上拡大しないよう、国が一刻も早く子宮頸がんワクチンの接種勧奨を再開することを強く求めます」(2017年1月13日付け)と強調した。

 なお、接種後のさまざまな症状を呈する患者に対し、同学会では他分野の専門家と協力し、今後も真摯に診療に取り組むとしている。

(あなたの健康百科編集部)