2017年02月06日 06:00 公開

喫煙者のみに効く薬とは

急な便意が襲う「クローン病」の再発予防にメルカプトプリン

 若い人に多い「クローン病」は、腹痛や下痢、血便、体重の減少などを伴う難病だ。英国ナインウェル病院をはじめとする研究グループは、このたび、クローン病の手術後の再発には喫煙が関係し、治療に使われる「メルカプトプリン」という薬による術後の再発予防効果は、喫煙習慣がある患者だけに認められるとした研究結果を報告した。詳細は、12月に発行された医学誌「The lancet. Gastroenterology & hepatology」(2016; 1: 273-282)に掲載されている。

喫煙患者では、メルカプトプリン投与で再発リスクが低下

 クローン病は、10~20歳代の若い人に多く発症し、日本で増加中だ。小腸と大腸を中心に、口腔から肛門に至る消化管のいずれかに炎症や、潰瘍といって粘膜が傷つきえぐられた状態が見られる。腹痛や下痢、血便のほか、体重の減少や発熱、痔ろうといった症状が現れ、急な便意に怯え、外出がままならなくなることもある。

 治療には、腸への刺激を抑える栄養療法や薬物療法などが行われる。しかし、腸の狭くなってしまった部分が詰まる腸閉塞や穿孔(せんこう)といって消化管に穴が空くなどの合併症が起こった場合には、命に関わるため手術が必要となる。

 日本では、クローン病患者の約70%が、診断後10年のうちに手術を受けていると報告され、ほとんどすべての患者で一生涯のうちに一度は手術が必要になるという。また、手術をしても、術後の再発率が高いようだ。

 今回、研究グループは、腸管の切除手術を受けた16歳以上のクローン病患者240人を、①メルカプトプリンを連日服用する群128人と、②偽薬を服用する群112人に分けて、3年間追跡。クローン病の再発と、薬物療法による救命または再手術の必要性について調べた。

 その結果、再発により抗炎症薬による救命または再手術を必要とした患者は、偽薬群が26人(23%)、メルカプトプリン群が16人(13%)と、両者に大きな差はなかった。

 喫煙の有無で分けて、治療を必要とする再発について解析したところ、非喫煙患者の再発率は偽薬群16%(14/86人)、メルカプトプリン群13%(13/99人)で、両者に大きな差は見られなかった。その一方で、喫煙患者の場合、再発率は偽薬群の46%(12/26人)に対し、メルカプトプリン群では10%(3/29人)と顕著に低かった。

 研究グループは、「メルカプトプリンは、クローン病の手術後の再発予防に有効だが、その効果は喫煙者に限られる」としながらも、「喫煙は、クローン病の再発リスクになる。禁煙は強く推奨されるべきだ」と改めて強調した。

(あなたの健康百科編集部)