2017年02月08日 06:00 公開

体の性があいまいな「性分化疾患」

性同一性障害とは異なる

 胎児期の性別を決定づける過程で問題が生じ、男女の判別が難しい状態で生まれてくる性分化疾患は「病気自体がよく知られていないため、偏見に苦しむ患者も少なくない」として、国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)内分泌代謝科の堀川玲子医師は正しい理解を呼び掛けている。

体の状態や症状はさまざま

 胎児期の性は3段階で分化する。まず、性染色体の男性型(XY)か女性型(XX)で遺伝的な性が決定。次に「性腺」と呼ばれる部分が遺伝的な性に基づいて、精巣や卵巣へと分化する。最後に男女それぞれの性器が形作られる―。これが大まかな性の分化のプロセスだ。

 性分化疾患とは、この一連のプロセスに問題が生じる病気。通常ならば性染色体、性腺、性器は男女いずれかの性で統一されているが、性分化疾患ではそれぞれの性が食い違っていたり、あいまいだったりする。例えば、性染色体は女性型で、子宮も腟(ちつ)もあるが、卵巣ではなく精巣があるケースや、精巣と卵巣の区別があいまいなケース、どちらも併せ持っているケースなどだ。

 性分化疾患とはこうした60種類以上もの疾患群の総称で、体の状態や症状はさまざまだ。「性別はアイデンティティーに関わる問題。生きづらさを感じている方も少なくありません」と堀川医師は話す。

望ましい性別を慎重に判断

 心と体の性が一致しない性同一性障害と混同されがちだが、性分化疾患はあくまで体の性が問題となる病気だ。治療では望ましい性別を慎重に判断した上で、その性に近づける治療(ホルモン治療、性器の形成術など)が行われる。

 ただ、性別は将来を決定づける重要な問題であり、判断は容易ではない。中には成長するにつれて、幼い頃に決められた性別に違和感を抱くこともある。「正解はありませんが、必要な検査を行った上で慎重に検討することが大切。性分化疾患の診療体制が整った医療機関を早めに受診することが望まれます」

 また、周囲の理解も重要だ。世の中にはさまざまな病気があるが、性分化疾患はその一つにすぎない、と堀川医師は強調する。「まずは性分化疾患が特別な病気ではないとの認識を社会で共有すること。男性か女性かという前に一人の人間として多様性を受け入れてほしい」と呼び掛けている。

(あなたの健康百科編集部)