2017年02月13日 06:00 公開

母親のトラウマ体験が、子の気質を左右?

 おなかの中の赤ちゃんは、外部からたくさんの刺激を受けて日々成長している。赤ちゃんにとって心地いい刺激を送れればいいが、それが逆に好ましくない刺激だったら・・・。母親のトラウマ体験が、子どもが産まれながらにして持っている気質のうち、否定的な感情に影響を与えることが、ハーバード大学の研究グループにより報告された。詳細は、1月20日発行の医学誌「Infancy」(電子版)に掲載されている。

出生前コルチゾールとの関連が

 母親が人生において深い心の傷となるトラウマを抱えていると、子どもの産まれつきの気質にどのような影響を及ぼすかについては、これまでほとんど研究されていなかった。

 そこで今回、研究グループは、年齢や人種など背景がさまざまな母子を対象に、母親のトラウマ経験と子どもの否定的な感情との関連や、出生前のコルチゾールの曝露による影響について調査した。

 コルチゾールは、ストレスホルモンと呼ばれることもあり、ストレスを受けると、そのストレスに対応しようとして分泌量が増える。生命の維持に不可欠なホルモンであり、炎症を抑制する作用などもある。

 母親の人生におけるトラウマと現在抱えているストレス要因については、妊娠中に調査した。また、妊娠後期(28~40週目)に母親の毛髪を採取して、コルチゾールの分泌量を調べた。

 子どもの産まれつきの気質については、子どもが生後6カ月のときに、母親に、子どもの行動に関する質問票への記入を依頼して調べた。

 子どもの性別、母親の年齢、学歴、人種などで偏りが出ないよう調整を加えてから分析を行ったところ、母親にトラウマ体験があると、子どもの気質のうち、「何かを制限された時に現れる負の感情」と「悲しみ」が強く現れた。

 出生前のコルチゾールの曝露量の多少により、子どもの気質である「不機嫌からの回復のしやすさ」と母親のトラウマ経験との関係に影響が見られた。また、「何かを制限された時に現れる負の感情」と母親のトラウマ経験との関係は、出生前のコルチゾールの曝露量が多い子どもでやや強まった。

 こうした分析から、母親の人生におけるトラウマ経験は、妊娠中に母親がストレスを受けたかどうかとは別に、子どもの否定的な感情に影響を与えること、そして、一部の項目では、出生前のコルチゾールの曝露量によって、影響力が変わるかもしれないことが示された。

 研究グループは、「今回の研究結果は、トラウマの経験が、世代をまたぎ子どもの発達に影響することを示すものだ」としている。

(あなたの健康百科編集部)