2017年03月02日 06:00 公開

地中海食でコレステロール回収機能がUP

スペインからの報告

 オリーブオイルをふんだんに使い、肉よりも魚料理や野菜、豆類、果物などを豊富に摂るイタリア・スペイン・ギリシアなどの地中海沿岸諸国の料理。イギリスやドイツ、北欧などに比べて、狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患が少ないことから、1975年に米国のアンセル・キーズ博士が「南イタリア料理の素晴らしさ」を発表したことにより地中海食に注目が集まるようになった。この地中海食の効果についてさらに喜ばしい効果が-地中海食が心血管疾患(CVD)リスクが高い人の善玉コレステロールといわれる高密度リポ蛋白(HDL)の機能を改善することが確認されたとスペインの研究グループが医学誌「Circulation」(2017年2月13日オンライン版)に発表した。

実験開始1年後のHDL機能を評価

 HDLは、末梢組織から過剰なコレステロールを回収し、肝臓に運ぶコレステロール逆転送の作用があり、抗動脈硬化に働くと考えられている。しかし、最近の研究で、CVD高リスクの人は、このHDLがうまく機能しないこと、HDLの量と同様に機能の重要性が指摘されている。

 同グループは、CVD高リスクの296人を抽出。伝統的な地中海食(野菜、果物、豆類、全粒粉を多く、魚と鶏肉を適量)に、バージンオリーブ油(大さじ4杯、約60cc/日)またはナッツ(一つかみ、約30g/日)の摂取を強化した、地中海食+オリーブ油グループ、地中海食+ナッツグループ各100例と対照の低脂肪食グループ96人を比較した。

 HDL機能は、コレステロール逆輸送系、HDL抗酸化作用およびHDL血管拡張能について検討した。

コレステロール代謝や抗酸化能が改善

 対象は、平均年齢は約66歳、男性が50%前後、環境や個人因子については3グループ間で有意差がなかった。

 調査を開始して1年後、3グループともにHDLに含まれるコレステロール(HDL-C)値の有意な変化はなかった。解析の結果、コレステロール回収能は、オリーブ油グループ、ナッツグループともに、それぞれ開始時点よりも増加していた。

 オリーブ油グループでは、その他にもコレステロール代謝、抗酸化作用、血管拡張機能の増加なども見られた。

 HDLの中性脂肪含有量は、オリーブ油グループ、ナッツグループでともに有意に減少した。

 同グループは「地中海食は、HDLの酸化状態、組成および粒子径を改善することでHDL機能を改善した。その作用機序や心保護効果について、今後の研究で検証する必要がある」としている。

 また、この論文について米国ペンシルベニア大学のダニエル・ラダーズ氏は「低脂肪食に比べて、地中海食はHDL-C値への影響は小さいが、コレステロール回収能の促進効果が大きかった。今回、地中海食が、HDL機能を改善する実践的なアプローチであり、CVDリスクを軽減させる可能性が示された。HDLのコレステロール回収促進と地中海食の有益性との因果関係は、今後検証されねばならない」とコメントを出した。

(あなたの健康百科編集部)