2017年03月06日 06:00 公開

側弯症に重い鞄は関係ない?バレエが関与?

生活習慣、スポーツ歴と側弯症の関係

 学校の検診で「背骨が曲がっている」と言われた・・・・・・思春期側弯症(以下、側弯症)は、10歳以降の成長期の女子に多く発症するが、自覚症状が乏しいため、はじめは本人も周りの家族も気づかないことが多いという。慶應大学らの研究グループは、側弯症に関連する生活習慣について調査し、多くの日常生活習慣や動作は側弯症に関係ないこと、バレエなどの一部の運動が関連しているという研究結果を医学誌「The Journal of Bone & Joint Surgery」(2017 ;99:284-294)に発表した。

遺伝だけでなく、生活習慣、スポーツ歴などを調査

 私たちが「背骨」と呼ぶ脊椎は、7つの頸椎、12つの胸椎、5つの腰椎に分けられ、正常な脊椎は正面から見ると直線状で、横から見ると頸椎は前に、胸椎は後ろに、腰椎は前にカーブしている。この脊椎がねじ曲がる病気「側弯症」は、正面から見て、脊椎が10度以上曲がる状態をいう。神経や筋肉の病気、脊椎の奇形などが原因で起こる場合もあるが、多くはその原因が明らかでないため「特発性側弯症」といわれる。その中でも特に多いのは、思春期の女子に多く発症する「思春期側弯症」で、日本人の約2%にみられるという。

 側弯症の発症に関係する遺伝子はすでに発見され遺伝子の関与が大きいとされているが、スウェーデンで行われた研究から遺伝子の影響は60%との報告もあり、再び、発症や進行には母胎内の環境や出生後の生活習慣、スポーツ歴なども関与していると考えられるようになった。

 同研究グループは、学校での1次健診で疑いがあり2次検診としてX線写真を撮影し、専門医を受けた2,747人の女子中学のうち、他疾患の合併やてんかん、さらに生理状況が不正確な147人を対象から外し、最終的に2,600人とその家族に質問票調査を行い、側弯症と関連する因子についての解析を行った。

 質問票は全部で38項目あり、生活習慣、スポーツ経験、家庭環境、健康状態、母親の妊娠中の状況、出産の状況、出生後の発育状態などで構成され、さらにBMI、生理状態などが聴取された。さらに、撮影されたX線写真では、専門医が骨の湾曲の角度(コブ角)を計測し、15度以上を側弯症と定義した。

バレエで1.3倍の側弯症率、一方でバスケ0.69倍、バドミで0.61倍

 解析の結果、通学かばん(肩掛け、リュック)の種類、かばんの重さ、楽器演奏とその種類、勉強時間、寝る姿勢、睡眠時間、ベッドか布団かなどは側弯症と有意な関連はなかった。

 肥満度を示すBMIについて、BMI18.5以上よりBMI18.5未満(やせ傾向)の女子に側弯が多い(1.38倍)ことが分かった。

 また、母親が側弯症であると子どもの側弯症が1.5倍となった。この結果は、遺伝的要素がある程度関与していることを裏付けた。子宮内環境や高齢出産が側弯症と関連しているという報告がみられるが、本研究では関連は見られなかった。

 スポーツ経験では、クラッシクバレエとの関連が示唆され、クラッシックバレエをしたことがない子に比べて、したことのある子は側弯症率が1.3倍となった。一方で、バスケットボールでは0.69倍、バドミントンでは0.61倍と低下していた。

 クラシックバレエに関しては、未経験者と比べて7歳未満で習い始めた場合の側弯症率が1.38倍となり、経験年数が増加するに従い、また練習頻度が増加するに従い、明らかに側弯症率が高くなることが判明した。

 過去の調査では24%のバレエダンサーに側弯症があったという研究報告があり、同報告ではそのダンサーの83%に生理不順があったとの報告もあるが、本研究ではバレエと側弯症の関連を生理で説明することが出来ないという。

 元々の体型や体格がスポーツの趣向に影響した可能性も考えられ、バレエの結果、側弯症になったのか、やせ形の子がバレエを続けているのか、低BMIが続いた結果として側弯症になったのか、側弯症だから低BMIなのか・・・などは不明となっている。

 研究グループは「側弯症で悩む児童やその家族への生活指導において、有効な情報になる」とし、今後は、遺伝子と生活環境との関連についても研究を行っていく予定だという。

(あなたの健康百科編集部)