2017年03月13日 06:00 公開

閉経が遅いと、甲状腺がんのリスクに

 国立がん研究センターの研究グループは、生活習慣とがんや脳卒中などの病気との関係を明らかにし、日本人の生活習慣病予防と健康寿命の延伸に役立てるために、「JPHC研究」という疫学研究を行っている。その1つとして、今回新たな成果が報告された。閉経の遅い女性と初経の早い女性は、甲状腺がんのリスクが高いという。詳細は、1月21日発行の医学誌「European Journal of Cancer Prevention」(電子版)に掲載されている。

閉経年齢47歳以下と比べた54歳以上での甲状腺がんリスクは2.26倍

 甲状腺がんは女性に多く、若い世代でかかることが比較的多い。そのため、月経や出産歴など女性特有の何らかの因子が関連している可能性があると考えられている。

 動物を使った実験では、女性ホルモンであるエストロゲンが、甲状腺がんの増殖を促すことが報告されている。しかし、人を対象とした疫学研究からは、それを支持するような報告はない。

 そこで今回、研究グループは、JPHC研究の1つとして、40~69歳の女性5,4776人を、1990~2012年まで追跡して得られた結果に基づき、甲状腺がんになるリスクと関連の強い女性特有の要因について調べた。

 追跡期間中に甲状腺がんを発症した187人を解析したところ、閉経前の女性92人のうち、初経年齢が13歳以下だった人に比べて、16歳以上と高かった人は、甲状腺がんの発症リスクが0.58倍と低かった。また、年齢が1歳増加するごとの発症リスクは0.83倍と低かった。

 一方、閉経後の女性95人では、人工的に閉経した人は、自然閉経の人に比べて、閉経後の甲状腺がんの発症リスクが2.34倍と高くなった。また、閉経年齢が47歳以下の人と比べて、54歳以上と高かった場合、甲状腺がんの発症リスクは2.26倍高くなったという。

 閉経年齢が高いこと、初経年齢が低いことは、ともに女性ホルモンであるエストロゲンにさらされる期間が長いことを意味する。今回の結果でも、初経から閉経までの期間が長い女性で甲状腺がんの発症リスクが高い傾向にあった。この点について、研究グループは「エストロゲンが甲状腺がんと関連があるという、これまでに示された動物実験の結果を支持するものだ」とコメントしている。

 さらに、研究グループは、「日本人での研究による科学的裏付け(エビデンス)が少ないこと、メカニズムがよく分かっていないことなどから、更なる研究結果の蓄積が必要だ」と今後の課題を示した。

(あなたの健康百科編集部)

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