2017年03月15日 06:00 公開

妊婦が摂るべき栄養素とは?

マンガンの摂取が、妊娠中のうつ症状を抑制

 妊娠中は、おなかの中のわが子のために、栄養を意識した食事を心掛けている人も多いはず。そんな人なら注目したい妊婦の栄養とうつ病に関する研究成果が、愛媛大学が主導する共同研究チームから発表された。それによると、妊娠中のマンガンの摂取が、妊娠中のうつ症状の予防と関連するのだという。研究の詳細は、1 月15 日発行の学術誌「Journal of Affective Disorders」(電子版)に掲載されている。

1,700人の妊婦で検討

 マンガンはミネラルの1つで、私たちの体にとって欠かせないもの。栄養を消化・吸収するための酵素を活性化させる、酵素の構成成分として骨の形成を助けるなど、さまざまな働きがある。全粒穀類や大豆製品、茶葉などに多く含まれているようだ。

 これまでに行われてきた疫学研究で、亜鉛やマグネシウム、鉄などのミネラルの摂取とうつ症状との関連が検討されてきた。うつ病に対して予防的な関連があるとした研究がある一方で、関連はないとする研究もあり、その結果は一致していない。

 銅とマンガンの摂取については、過去にそれぞれ1つずつの報告があり、うつ症状を予防するといった関連性が認められている。

 そのような中、研究グループは今回、ミネラルの摂取と妊娠中のうつ症状との関連について調べた。

 対象は、「九州・沖縄母子保健研究」の初期調査に参加した九州または沖縄に住む妊婦1,745 人で、自己記入式の質問調査票に記入してもらった。うつ病の定義には、自己評価尺度「Center for Epidemiologic Studies Depression Scale(CES-D)」を用い、16 点以上をうつ症状有りとした。また、年齢や妊娠週、居住地域、家族構成、過去のうつ病歴、家族の過去のうつ病歴、喫煙、受動喫煙、職業、家計の年収、教育歴、肥満度の指標となるBMI、カルシウムやビタミンDを含む栄養摂取状態などに偏りが出ないようデータを補正した。

 その結果、妊娠中にうつ症状を有していたのは19.3%だった。マンガンの摂取量で4つのグループに分けたところ、摂取量が最も少なかった群に比べて、最も多い群では、妊娠中にうつ症状が現れる確率が0.74倍と、統計学的に明らかに低かった。つまり、マンガンの摂取が、妊娠中のうつ症状を抑制できるかもしれないということだ。

 ちなみに、亜鉛やマグネシウム、鉄、銅といった他のミネラルでは、マンガンで見られたような関連性は認められなかった。

 研究グループは、「マンガンを多く含む食品をたくさん摂取することにより、妊娠中のうつ症状が予防できる可能性がある」とし、「今後、更なるデータの蓄積が必要となるが、非常に関心の高い研究成果と言えよう」と今回の結果を評価した。

(あなたの健康百科編集部)