2017年03月16日 06:00 公開

米国、2060年までに難聴者数が倍増

CDCからは「4人に1人が騒音性難聴」の報告も

 耳の聞こえが悪いということは、想像する以上に生活をしづらいものにする。耳が遠くなるのは、年を取ってからだから「まだまだ、大丈夫」と思っている人も多いが、耳の健康について若い頃から気をつけるべきかもしれない。人口の高齢化に伴い世界各国で難聴者の数も増加傾向にあるが、このたび米国では2060年までに難聴者数が2倍近くまで増加すると米国の研究グループが医学誌「JAMA Otolaryngol Head Neck Surg」(2017年3月2日オンライン版)に報告した。また、米疾病対策センター(CDC)からは米国の大人4人に1人が、騒音が原因と考えられる難聴があったとする調査結果「MMWR Morb Mortal Wkly Rep」(2017;66:139-144)を受け、「できるだけ騒音を避ける」などの対策を示した。

70歳以上では約7割が難聴に

 同グループは米国民保健栄養調査(NHANES )に参加した20歳以上の米国民の聴力検査データに基づいた難聴者数を人口予測データに当てはめ、2020~60年の難聴者数を推定した。補聴器無しでも生活への支障はそれほどないが、小さな音が聞き取りにくくなったり、聞き返すことが多くなったり、家族からテレビの音量が大きいといわれるようになる「軽度(25dB以上40dB未満)」からを「難聴」と分類した。

 その結果、20歳以上の難聴者数は2020年の4,400万人(20歳以上の人口の15%)から2060年には7,400万人(同23%)に増加すると推定された。特に高齢者での増加が顕著で、70歳以上の人口における難聴者の割合は同期間に55.4%から67.4%に増加すると予測された。

自身で聴力「良好」と回答した人の4人に1人が難聴

 一方、CDCからは、20歳代の若年層でも日常生活での騒音が原因で難聴となる例が存在するといった「騒音性難聴」の実態を明らかにした研究結果が発表された。

 同研究では、2012年のNHANESのデータを分析した結果、20~69歳の米国民の騒音性難聴の有病率は24%で、その有病率は高齢になるほど高まることが示されたが、20~29歳でも19.2%のを占めていることが示されたという。

 さらに、騒音を伴う職業に従事していない人でも5人に1人に、また自身の聴力について「良好」あるいは「極めて良好」と回答した成人でも4人に1人が騒音性難聴があることが明らかになった。ただし、今回の調査では、騒音が原因ではない難聴も含まれている可能性は否定できないとしている。

落ち葉用掃除機も原因に? 可能な限り騒音を避ける

 この分析結果を踏まえ、CDCは「落ち葉用掃除機の使用やロックコンサートの鑑賞など、日常生活で経験するさまざまな騒音が難聴の原因となりうる」と強調。「未治療の難聴は不安や抑うつ、孤独感、ストレスの他、長期間の騒音への曝露は心疾患や高血圧などのリスク上昇にも関連することが報告されている」としている。

 なお、CDCが勧める難聴予防のための具体策は以下の通り。

  • 可能な限り騒がしい環境を避ける
  • 耳栓やイヤーマフ、ノイズキャンセリング機能が付いたヘッドホンを使用する
  • イヤホンやヘッドホンを使用してテレビや音楽を試聴する際には、音量を下げる
  • 聴力検査を受ける

(あなたの健康百科編集部)

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