2017年03月21日 06:00 公開

身長が低いほど、歯の本数は...?

 80歳になっても20本以上自分の歯を保とうという「8020(ハチマルニイマル)運動」のおかげか、自分の歯を保っている人の割合は、年々高まっているようだ。日本人の生活習慣病予防と健康寿命の延伸のために、国立がん研究センターの研究グループが実施しているという「JPHC研究」。今回、その研究成果として新たに報告されたのが、身長と歯の本数との関連性についてだ。詳細は、医学誌「Asian Pacific Journal of Health Sciences」(2016;3:81-88)に掲載されている。

男女1,200人で検討

 これまでの報告によると、身長は大腸がん、乳がん、循環器の病気などと関連性があるという。また、身長と歯科疾患との関連を調査した研究も、海外では行われている。

 身長とむし歯との関連を調べた研究では、身長の低い人ほど乳歯や永久歯がむし歯になるリスクが高いと報告されている。食生活の乱れや栄養状態の不良が、低身長やむし歯のリスクを高めるためとされているようだ。さらに、低栄養状態は唾液の量や質を変化させ、よりむし歯になりやすくなるとも考えられているようだ。

 身長と歯周病との関連では、低身長の人ほど歯周病にかかるリスクが高いとの報告がある。感染症を起こしやすい人は、慢性的な炎症によって身体の成長が遅れがちとなり、感染症である歯周病にもかかりやすいからだという。

 しかし、日本において、身長と歯の状況との関連を調べた研究はまだない。そこで今回、研究グループは、身長と歯の本数との関連について調査した。

 今回の歯科研究の解析対象となったのは、秋田県内に住む男女で、歯科のアンケート調査に回答し、歯科医院で歯科健診を受けた1,214人(男性565人、女性649人)。歯科健診では、残っている永久歯の本数、歯周病の状態など、口の健康について調べた。

 対象の男性を、身長の低い方からQ1(≤159cm)、Q2(160-162cm)、Q3(163-165cm)Q4(166-169cm)、Q5(≥170cm)の5つのグループに、女性ではQ1(≤148cm)、Q2(149-151cm)、Q3(152-154cm)、Q4(155-157cm)、Q5(≥158cm)の5つのグループに分け、歯の本数との関連について解析を行った。解析に当たっては、年齢、学歴、喫煙、糖尿病の有無、BMI、飲酒、ストレス、出産回数(女性のみ)、甘いお菓子や飲み物を摂る頻度、かかりつけ歯科医の有無、歯の清掃状態による違いが結果に影響しないように配慮した。

男性では身長の高低で約2本の差が

 身長と歯の状況との関連を見たところ、男性において身長の最も低いQ1グループでは、身長の最も高いQ5グループに比べて2.4本歯の本数が少なく、前歯と奥歯でそれぞれ約1本ずつ少ない結果となった。

 また、男性において、自分の歯が24本未満となるリスクは、統計学的に明らかな差は出なかったものの、身長が低いグループほど高くなる傾向にあった。身長と自分の歯が1本もない無歯顎(むしがく)との間には、特に関連は見られなかった。

 一方、女性においては、身長と歯の状況との間に、男性で見られたような関連は認められなかった。

 身長と歯の本数との関連が見られたのは、男性だけだった。研究グループは、その理由は不明としながらも、「妊娠・出産や女性ホルモンの変化など、女性特有の要因が口の健康に影響を及ぼすこと、女性では保健の知識や保健に関する行動力などが、男性に比べて良好なことなどが関係しているのかもしれない」との考えを示した。

 歯を失う2大要因は、むし歯と歯周病だという。研究グループは、今回の研究結果を振り返り、「身長や歯科疾患は、小さい頃からの食生活や栄養状態などに影響を受けます。口や全身の健康のためには、適切な生活習慣をより早期から確立することが必要と考えられます」とコメント。さらに、今回の結果が、一部の地域の対象者から得られたものであることについては、「今後は、対象地域と対象者数を増やし、さらなる研究結果を蓄積することが必要だ」としている。

(あなたの健康百科編集部)